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複数人に贈与するときでも、贈与契約書は受贈者ごとに分けて作成する必要はありません。
1つの契約書で複数人を受贈者とする贈与契約書を作成することもできます。
複数人を受贈者とする贈与契約書を作成する際には、1人を受贈者とする場合と比べて注意すべき点が多くなります。
贈与契約書の書き方についても、詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
弁護士法人アクロピースでは60分間の無料相談を実施しています。
365日、24時間いつでもお問い合わせできますので、複数人を相手とした贈与契約書の作成にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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受贈者が複数人の贈与契約書を作成する方法には、次の2通りがあります。
受贈者が複数の場合であっても、贈与契約書は1通(1種類)で足ります。
贈与契約では複数人を相手に1つの財産を贈与することもあるため、受贈者の数に合わせた契約書を作成するのが難しい場合もあります。
たとえば、3人の子どもに1つの不動産を贈与する場合、1通の贈与契約書を作成して、その中で個々の共有持分を記載するのが良いでしょう。
ただし、複数人に現金を贈与するときには、受贈者ごとに贈与契約書を作成する方が良いでしょう。
贈与の目的物が可分のときには、個々の受贈者との贈与契約が他の契約に影響を与えることはないからです。
たとえば、長男に100万円、次男に80万円、長女に80万円を贈与する場合、何らかの事情により次男との贈与契約が無効になったとしても、長男や長女との贈与契約には影響ありません。
複数人を受贈者とする贈与契約書に記載すべき事項は、次の4点です。
贈与の目的物が現金や株式など簡単に分けられるものの場合には、個別に契約書を作成すべきです。
そのため、ここからは贈与の目的物が不動産の場合を想定して解説します。
贈与契約書には、贈与契約の締結日を記載します。
贈与契約の締結日と契約書の作成日が異なる場合には、それぞれ個別に記載する必要があります。
贈与契約の締結日とは、全ての当事者が贈与契約の内容に合意した日です。
受贈者の中に贈与契約の内容を知らない人がいる場合には、贈与契約は成立しません。
たとえば、1つの不動産を長男、次男、長女に贈与する場合、子ども全員が贈与契約の内容に合意しなければ贈与契約は成立しません。
子どもに確認せずに勝手に契約書を作成したときには、私文書偽造罪が成立する可能性もあるため注意してください。
贈与者と全ての受贈者の氏名・住所を記載します。
契約書に住所・氏名を記載する目的は、契約の当事者を特定するためです。
氏名については、各当事者が自署又は押印するようにしてください。
自署又は押印があることで、各当事者が契約内容を確認して契約に合意したことが推定されます(民事訴訟法228条4項)。
押印する印章には実印を使用して、それぞれの印鑑証明書も添付しておくと証拠としての価値がより高くなるでしょう。
受贈者の中に未成年者がいるときには、親権者が代理人として署名又は押印することになります。
贈与する不動産は、登記簿謄本を参照して間違いなく記載してください。
不動産を特定するために記載すべき項目は、不動産が土地か建物かによって異なります。
土地の場合に記載すべき項目は、次の4つです。
建物の場合に記載すべき項目は、次の5つです。
1つの不動産を複数の受贈者に贈与するときには、各自の持分割合についても記載してください。
たとえば、1つの不動産を3人に3分の1ずつの割合で贈与するときには、「下記の不動産をそれぞれ3分の1の割合で贈与する」と記載します。
不動産をいつ引き渡すのかを記載してください。
登記費用を誰が負担するのかについても記載しておくと良いでしょう。
不動産の所有者には固定資産税が課税されます。
固定資産税が課税されるのは、毎年1月1日時点の所有者です。
贈与により不動産の所有権が移転すると、どちらが固定資産税を負担すべきか明確ではなくなるため、贈与した年の固定資産税をどちらが負担するかについても契約書に記載しておくことをおすすめします。
複数人を相手とする贈与契約書を締結する際は、次の3つの点に注意してください。
それぞれの注意点について解説します。
贈与の目的物が不動産のときには、贈与契約書に収入印紙を添付する必要があります。
収入印紙の金額は、不動産の価格にかかわらず200円です。
複数の不動産を贈与する場合でも、金額は変わりません。
収入印紙の額は、取引金額によって決まります。
一般的な贈与は無償であるため取引金額が0となり、印紙代は最低額の200円となるのです。
ただし、贈与契約が受贈者に一定の債務負担を条件とする負担付贈与のときには、負担する債務の額が取引金額となります。
そのため、負担付贈与については、負担相当額に応じて印紙代も変動するため注意が必要です。
受贈者が複数人の場合でも、作成する贈与契約書は1種類で問題ありません。
ただし、契約書の数は人数分用意してください。
複数の受贈者との間で贈与契約を締結する際は、贈与者と受贈者を合わせた人数分の契約書にそれぞれが署名又は押印して、各自1通ずつ保管します。
たとえば、受贈者が3人のときには、同じ契約書を4通作成して、贈与者、受贈者が各自1通ずつ契約書を保管することになります。
贈与契約書には、全ての当事者が署名・押印する欄を作成して、必ず全員が署名・押印してください。
贈与者が一部の受贈者の確認をとらずに、署名又は押印を勝手にしたときには、有印私文書偽造罪に問われる可能性もあります。
受贈者が未成年者で契約書の内容を確認できないときでも、親権者に内容を確認してもらうなどして、自分だけの意思で勝手に作成することがないようにしましょう。
複数人を受贈者とする贈与契約書のひな形は、次のとおりです。
弊社のひな形では、贈与者が甲、受贈者が乙、丙となっています。
受贈者がさらに増える場合には、丁、戊と追加で記載してください。
第1条の「下記の不動産をそれぞれ2分の1の割合で贈与する」の部分は、持分割合を示すものです。
平等の割合ではない場合には、「乙に3分の2、丁に3分の1の割合で贈与する」といった形で、個別に割合を記載してください。
ひな形では土地のみを贈与する内容となっていますが、建物も併せて贈与するときには、建物を特定する5つの事項も記載する必要があります。
第2条の履行の方法については、必要に応じて登記費用の負担や、固定資産税の負担について記載しても良いでしょう。
贈与者が全て負担するときには、「登記費用は甲の負担とする。」、「本年の固定資産税は全て乙が負担する。」などと記載してください。
贈与契約書の書き方については、下記の記事でも詳しく解説しています。
併せてご覧ください。
複数人を相手とする贈与契約を締結する際には、次の2つのポイントをおさえておくと良いでしょう。
以下、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
受贈者が複数人いるときには、1通の契約書ではなく受贈者ごとに契約書を作成することも可能です。
ただし、複数の契約書を作成する際には、他の契約内容と矛盾がないよう注意してください。
たとえば、1つの物を複数人に贈与したり、贈与する持分の割合が合わなかったりすると、受贈者間でのトラブルに発展する可能性もあります。
1つの不動産を複数人に贈与する場合は、契約内容に矛盾が生じないよう1通の契約書で作成するのがおすすめです。
各受贈者が遠方にいるなど、1通の契約書で締結するのが難しい場合を除いては、受贈者ごとに契約書を分ける必要はないでしょう。
同じものを贈与しても、贈与税は受贈者ごとに計算されます。
受贈者が全員孫である場合のように、贈与者と受贈者の関係が同じときには相続時精算課税制度を選択したときの控除額も同じです。
しかし、子どもと孫に贈与するケースや配偶者と子に贈与するケースなど、贈与者と受贈者の関係に違いがあるときには、利用できる控除の制度にも違いがあります。
贈与契約を締結する際には、受贈者ごとに贈与税が発生するのか、発生するとしたらいくらなのかを事前に計算するようにしてください。
事前の計算なく贈与契約を進めると、持分割合や他の贈与契約との関係によっては、想定外の税金が発生してしまう可能性もあります。
1つの不動産を複数人に贈与するときには、契約内容に矛盾が生じないように1通の贈与契約書を作成するのが良いでしょう。
贈与契約書は、贈与者、受贈者全員が内容を十分に確認して、署名又は押印してください。
贈与契約書の作成、贈与の実行方法などで疑問をお持ちの方は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人アクロピースでは、契約書の作成や、相続税対策としての贈与など、贈与契約に関わる相談を受け付けております。
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弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
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