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遺言書は、大切な財産や意思を相続人に伝えるための重要な文書です。
しかし、正しく作成しなければ法的に無効となる可能性もあります。
本記事では、遺言書の基本的な書き方や必須項目、注意すべきポイントを詳しく解説します。
具体的な例文を交えながら、誰でも理解しやすい内容となっていますので、書き方に不安を感じている方は参考にしてください。
遺言書の書き方で悩んでいる方は、相続問題に強い弁護士法人アクロピースにご相談ください。
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遺言書には、自筆証書遺言と公正証書遺言、秘密証書遺言があります。
このうち、公正証書遺言は、公証役場にて遺言の内容を公証人に伝えて作成してもらう形式です。
自筆証書遺言と秘密証書遺言は自分で作成するため、遺言書の要件を理解しておく必要があります。
ここでは、よくある自分で作る遺言書「自筆証書遺言」の要件について解説します。
自筆証書遺言の要件は以下のとおりです。
要件 | 詳細 | 注意点 |
---|---|---|
遺言書の全文・自書と押印 (民法968条1項) ※公正証書遺言は公証人が作成 |
【自書が必要な項目】
|
遺言書は代理人による作成、代筆はできない |
遺言の作成日付の記載 (民法968条1項) |
遺言書の作成日を特定できるように記載する | 曖昧な日付けは無効
例:「令和4年2月吉日」は日付を特定できないため無効 |
財産目録の作成 (民法968条2項) |
相続財産の内容を一覧でまとめたもの(預貯金・不動産・有価証券など)
※通帳のコピーや不動産の登記事項証明書などの添付が可能 ※自筆ではなくパソコンでの作成も可能 |
自書ではない場合、目録の全てのページに署名押印が必要
※両面印刷の場合、両面に署名押印が必要 |
訂正および追加の処理 (民法968条3項) |
訂正や追記などは、その旨を明確に記載し、署名と押印をする | 署名・押印がない、該当箇所が不明瞭なものは無効 |
遺言書の種類については、下記の記事で詳しく解説しています。
あわせてぜひご覧ください。
「自筆証書遺言書保管制度」により法務局(遺言書保管所)へ自筆証書遺言書を預けたい場合は、以下を守る必要があります。
法務局に預けないのであれば、上記を守る必要はありません。
下の画像は、遺言書の作成例です。
画像出典:政府広報オンライン「知っておきたい遺言書のこと。無効にならないための書き方、残し方」
※法務省が作成したものを政府広報オンラインが一部改変
各項目の書き方を確認し、自筆証書遺言・秘密証書遺言の作成に役立てましょう。
遺言書の中でも、遺言に関わる部分の文例を紹介します。
それぞれの書き方の例について、詳しく見ていきましょう。
また、下記の記事では遺言書で指定できること・できないことについて詳しく解説しています。
1人に全財産を相続させたい場合は、以下のように指定しましょう。
遺言者の全財産を〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生まれ)に相続させる。
全財産を1人に相続させる場合、他の相続人から不満の声が出たり遺留分を請求されたりするリスクがあります。
そのため、全財産を相続させる理由も記載しておくことが大切です。
配偶者と親が相続人が相続人の場合の法定相続分は、配偶者が3分の2、親が3分の1です(民法900条2項)。
配偶者に全財産を相続させたい場合は、以下のように指定しましょう。
遺言者の全財産は、妻(夫)〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生まれ)に相続させる。
孫は、子が先に亡くなっている場合に代襲相続として法定相続人になることができます(民法887条2項)。
子が存命で孫に相続させたい場合は、以下のように指定します。
この遺言により、遺言者の財産のうち以下のものを孫〇〇〇〇(平成〇〇年〇〇月〇〇日生まれ)に相続させる。
不動産:〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地の土地及び建物
銀行口座:〇〇銀行〇〇支店普通預金口座(口座番号:〇〇〇〇〇〇)
相続に条件をつけたい場合は以下のように記載しましょう。
遺言者の全財産を長男〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生まれ)に以下の条件のもと相続させる。
条件:〇〇〇〇は、遺言者の死亡後6か月以内に〇〇の手続きを完了すること。
配偶者が自宅に住み続ける権利を確保したい場合は以下のように記載しましょう。
遺言者が所有する以下の建物の配偶者居住権を妻(夫)〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生まれ)に遺贈する。
続人以外の人物に全財産を渡したい場合は以下のように記載しましょう。
遺言者の全財産を、〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生まれ)に遺贈する。
法定相続人がいる場合はトラブルになるリスクが高いため、慎重に検討することが大切です。
財産の一部を寄付したい場合は以下のように記載しましょう。
遺言者の財産のうち以下のものを〇〇団体(本店所在地:〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地)に遺贈する。
定期預金(口座番号〇〇〇〇):全額
不動産: 〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地の土地
特別受益の持ち戻しとは、一部の相続人が受けた特別な利益のことです。
この不公平をなくすために、特別受益分を相続分に含めて計算するのが「特別受益の持ち戻し」です(民法903条)。
特別受益の持ち戻しを免除したい場合は、以下のように指定します。
遺言者が次男の〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生まれ)の結婚時に住宅資金として渡した500万円は、特別受益の持ち戻しを免除する。
相続人廃除とは、相続人から対象者を廃除し、一切の相続をさせないことです(民法892条)。
相続権を失うため、法的相続分を下回った場合に行える遺留分侵害額請求も行えません。
ただし、被相続人への虐待や重大な侮辱、著しい非行などがあったことが条件です。
また、遺言によって相続人廃除をする場合は、被相続人が亡くなってから家庭裁判所へ申し立てを行う必要があるため、遺言で遺言執行者を指定しておくことが大切です(民法893条)。
遺言執行者は、遺言書の内容に従って、相続分の分配や相続人の廃除の手続きなどを行う人物です(民法1006条)。
以下のように記載しましょう。
長男〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生まれ)を相続人から廃除する。
遺言書執行者を指定したい場合は以下のように記載しましょう。
本遺言の遺言執行者として、弁護士〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生まれ)を指定する
後見人は正式名称を「成年後見人」といい、対象者が未成年者や認知症であることなどを理由に、法定代理人として本人の財産管理や身上監護を行う人のことです(民法839条、843条)。
相続人のように利害関係者が後見人となっている場合は、あわせて特別代理人を立てる必要があります(民法826条1項)。
以下のように記載しましょう。
遺言者は、次の財産を妻〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生まれ)に相続させる
普通預金(口座番号〇〇〇〇):全額
不動産: 〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地の土地および建物
遺言者の長男〇〇は、その必要があるときは、自己を候補者とし、速やかに遺言者の妻〇〇の後見人ないし保佐人選任の手続等を行うこととする。
認知とは、法律上の父親を確定するための手続きです(民法779条)。
法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子供を認知することで、相続人に加えることができます。
遺言書には、以下3つの情報を記載します。
以下のように記載しましょう。
私は、下記の者を私の子として認知します。
子供の氏名:〇〇〇〇(生年月日:2000年1月1日)
住所:〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地
本籍:〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地
戸籍筆頭者:〇〇〇〇
遺言書の内容によっては無効になったり、相続人間でトラブルになったりします。そのため、以下の注意点を守りましょう。
遺言書に曖昧な表現を使用すると、遺言の解釈に関する争いが生じる可能性があります。
遺言書では、財産を受け継がせたい相手に対して、明確な文言を使用することが重要です。
たとえば「取得させる」「相続させる」「遺贈する」などの用語を用います。
「私の財産を家族に分ける」では、誰に何をどれだけ分けるのかがわかりません。
「私の土地(所在:東京都港区〇〇丁目〇〇番地)を妻、田中花子に相続させる」とすることで、遺産の分け方が明確になります。
遺言書を作成する際は、遺留分を侵害しないようにすることが重要です。
遺留分とは、法律で定められた相続人が最低限受け取る権利のある財産の割合のことです(民法1042条)。
遺留分を侵害された相続人は遺留分に相当する金額を請求することができ、これが原因で相続に関するトラブルが発生することがあります。
関連記事:遺言書の作成で知っておきたい遺留分とは?わかりやすく解説
遺言書は、必ず一人ひとりが自分の意思を明確にするために作成しなければなりません。
たとえば、夫婦が共同で「遺言者たち夫婦は以下のように遺言します」といった形式で遺言書を作成しても、その遺言書は法的効力を持ちません。
各自が個別に遺言書を作成する必要があります。
遺言書の書き方に悩んだときは、次のように対処しましょう。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
遺言書の書き方に迷ったときは、公正証書遺言を選択することで解決できます。
公正証書遺言は、公証役場で公証人の立会いのもとで作成される遺言書のことです(民法969条)。
遺言の内容を公証人に伝え、それをもとに遺言書を作成してもらえるため、内容のミスのリスクを大幅に軽減できます。
公正証書遺言の作成の流れは以下のとおりです。
遺言書の作成は、自身の意思を正確に伝え、後のトラブルを防ぐために非常に重要です。
複雑な法律や手続きにお悩みの方は、弁護士に相談しましょう。
相続の状況は人それぞれ異なり、個別の事情を考慮しながら遺言書の作成が必要です。
しかし弁護士に相談すれば、遺言書が無効となるリスクが大幅に軽減し、納得感を得られながら遺言書の作成が可能になります。
弁護士法人アクロピースでは、60分間の無料相談を受けていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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遺言書の作成は、自分の意思を正確に伝え、相続人間のトラブルを防ぐために非常に重要です。
本記事では、遺言書の基本的な書き方や注意点を具体例とともに解説しました。
特に、公正証書遺言を選択することで法的な正確性を確保し、ミスを防ぐことができます。
また、相続に詳しい弁護士に相談することで、個別の状況に応じた適切なアドバイスを受けられるため、安心して遺言書を作成できるでしょう。
遺言書の作成については、ぜひ弁護士法人アクロピースにご相談ください。
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東京弁護士会所属
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