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親が亡くなり遺産相続の協議を始めようとしたとき、絶縁した兄弟がいると連絡が思うように取れず、話し合いが進まない場合があります。
親族間で行われる遺産相続は、感情的になりやすい側面があり、少しのすれ違いからトラブルに発展することもあるでしょう。
特に、絶縁中の兄弟が揉めてしまうと、収集がつかなくなってしまうケースも多いです。
本記事では、絶縁した兄弟と遺産相続を円滑に進めるための注意点を解説します。
また、連絡が取れない兄弟がいる場合の、遺産分割協議を成立させる対処法も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
絶縁中の兄弟と連絡が取れず遺産分割協議でお悩みなら、相続問題に強い弁護士法人アクロピースにご相談ください。
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親が亡くなって子が遺産相続する場合、絶縁状態にある兄弟にも相続権があります。
また、絶縁している兄弟が、親の養子や前妻の子、愛人の子であっても同じです。
法律上、被相続人の子は血縁関係や家族の事情にかかわらず、平等に相続権が認められています。
遺言書のない相続では、兄弟間が絶縁状態であっても、すべての法定相続人で話し合う遺産分割協議を行わなければいけません。
親の相続において、兄弟の遺産分割協議による合意は、避けられない課題です。
遺言書のない相続は、遺産分割協議を行いすべての相続人の合意が不可欠です。
相続人は遺産分割を進めるにあたり、協議が成立するための条件と、相続発生後の遺産の取り扱いについて押さえておかなければいけません。
遺産分割協議の成立の条件と、相続財産の取り扱いの注意点には、以下のものがあります。
遺産相続では、遺言書にすべての相続財産について取得する人が記されている場合を除いて、法定相続人による遺産分割協議が必要です。
遺産分割協議は法定相続人全員の合意が必要で、1人でも欠けていると成立しません。
法定相続人の中に、絶縁中の兄弟がいたとしても同様です。
遺産相続では相続財産の取り扱いに注意が必要です。
民法第898条には、被相続人の死亡時点で、遺産はすべて相続人の共有財産であると規定されています。
この共有状態は、遺産分割が完了するまで継続します。
共有財産とは、相続人が複数いて遺言書がない場合、相続財産が一旦相続人全員のものとして扱われる状態を指します。
法定相続人が自分と兄弟で、その兄弟と絶縁状態であったとしても、共有財産である遺産を勝手に処分できません。
たとえば、相続人の1人が遺産分割協議成立前に被相続人の預貯金を引き出したり、相続財産の不動産や車、貴金属などを売却したりする行為は違法です。
トラブルを引き起こさないためにも、相続財産は遺産分割完了まで相続人の共有財産であることを知り、法律に則って対応してください。
遺産分割前の相続財産の取り扱いの詳細は、こちらの記事をご覧ください。
関連記事:遺産分割協議における預貯金の分け方、記載方法を弁護士が解説
遺産相続において、相続発生から遺産分割が完了するまでの賃貸収入の扱いが問題になるケースがあります。
民法第909条は、遺産分割協議が成立すると、その効力は相続開始時点にさかのぼって発生すると規定しています。
この条文により、遺産分割開始から遺産分割が成立するまでに発生した賃貸収入も、その物件を相続した人が取得するものと思われがちです。
しかし、遺産分割協議が成立する前に発生した賃貸収入は共同相続人の共有に属し、相続開始から遺産分割するまでに得た家賃収入は、法定相続分に応じて分配します。
たとえば、兄弟2人が法定相続人であった場合、そのうちの1人が賃貸物件を相続したとしても、相続開始から遺産分割が完了するまでの賃貸収入は、法定相続分の1/2ずつで分けられます。
絶縁状態にある兄弟の遺産相続では、賃貸収入の分配などが新たな争いの種になる可能性もあるでしょう。
そのため、遺産分割協議の際は、トラブルに発展する前に弁護士に相談して、適切な対応をとることが重要です。
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被相続人の親が死亡して遺産相続が発生し、相続人の中に絶縁した兄弟がいる場合、その兄弟との関係性や連絡の可否によって遺産分割協議の進め方が異なります。
法定相続人に絶縁した兄弟がいる遺産分割協議のパターンは、以下の通りです。
絶縁していても兄弟と連絡が取れる場合は、親が亡くなったことを伝え、遺産分割協議に参加してもらいます。
兄弟間で連絡が可能なパターンでは、以下の方法で遺産分割協議が進められます。
絶縁した兄弟と連絡が取れるパターンでは、コンタクトを取り遺産分割協議を進めます。
絶縁した経緯によっては、兄弟と直接顔を合わせて話し合うのが難しいケースもあるでしょう。
遺産分割協議は必ずしも対面の同席で話し合う必要がないため、電話やメール、手紙、LINEなどのツールを使って遺産分割協議が可能です。
また、弁護士に依頼すれば、代わりに絶縁した兄弟と協議してもらえます。
ただし、どの方法で遺産分割協議をしても、合意した内容については遺産分割協議書を作成し、相続登記や預貯金の払い戻しが必要なケースでは、相続人全員の実印での捺印と印鑑証明書の提出が必要です。
絶縁した兄弟と連絡が取れたとしても、相続人の間で感情的な対立がある場合などは、遺産分割協議に応じてもらえないケースもあります。
遺産分割協議をしないことには、さまざまなリスクが存在します。
そのため、遺産分割協議が成立しないリスクについて絶縁中の兄弟に説明し、参加を促すことが必要です。
遺産分割協議をしない主なリスクは、以下の通りです。
絶縁した兄弟に遺産分割協議への参加を説得しても、聞き入れてくれないときは、民法第907条2項の規定により家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てます。
第九百七条2項
遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。
ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害する恐れがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。
出典:e-Govポータル|民法
遺産分割調停では、家庭裁判所の裁判官と調停員として有識者2名で調停委員会を組織し、当事者の間に入って遺産分割の話し合いを進めます。
遺産分割調停の流れは、以下の通りです。
遺産分割調停では、基本的に相続人全員が納得できるまで話し合いを続けますが、どうしても全員の納得が得られない場合は不成立となり、遺産分割審判へ進みます。
遺産分割審判の流れは、次の通りです。
遺産分割審判では、裁判官が相続人全員の主張を聞いたのち、遺産分割方法を決定します。
審判の内容が確定すると、すべての相続人はそれに従わなければなりません。
ただし、審判の内容に納得がいかない場合は、その確定前であれば即時抗告という不服申立てをすることができます。
遺産分割調停の申立て方法について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
関連記事:遺産分割調停での相続の流れは?申し立ての方法や有利な進め方も紹介
絶縁した兄弟と連絡が取れなくて相続についての話し合いに加われない場合でも、すべての法定相続人の合意がなければ遺産分割協議は成立しません。
そのため、所在調査を行って連絡が取れない絶縁中の兄弟の居場所を探す必要があります。
所在調査の方法と居場所が突き止められなかったときの対応は、次の通りです。
絶縁した兄弟の現在の住まいがわからず連絡が取れない場合は、戸籍の附票や住民票を取得して現在の所在地を確認します。
戸籍の附票とは、戸籍を作ったとき以降の住民票の移り変わりを記録したものです。
所在調査で現在の居住先が判明した場合は、絶縁した兄弟と連絡を取り、遺産分割協議への参加を求めます。
所在調査をしても絶縁した兄弟が行方不明の場合は、裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てて遺産分割協議を行います。
不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理する人で、利害関係がない弁護士などの法律の専門家が選ばれるケースが多いです。
不在者財産管理人が選任されると、連絡の取れない絶縁した兄弟に代わり遺産分割協議に加わります。
不在者財産管理人選任の申立てに必要な書類には、以下のものがあります。
不在者財産管理人は、不在者本人のために適切に財産を管理しなければいけません。
そのため、遺産分割協議では不在者の利益のために、最低でも法定相続分の取得を主張します。
絶縁した兄弟の生死が不明な場合は、失踪宣告の申立てによって相続人から除外できます。
失踪宣告の申立てができるパターンは、以下の通りです。
絶縁した兄弟の生死が7年以上わからない場合は、家庭裁判所に失踪宣告の申立てを行い、生存の確認が公告期間にできなければ、失踪宣告の審判によって法律上死亡したものとみなされます。
法律的に死亡扱いとなった絶縁中の兄弟は、相続人ではありません。
ただし、失踪宣告後に生存が確認された場合、家庭裁判所は本人、または利害関係人の請求により失踪宣告を取り消さなければいけないという規定が、民法第32条第1項にあります。
第三十二条1項
失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。
この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。
出典:e-Govポータル|民法
相続人である失踪者が生きていても、他の相続人が誰1人として生存していたことを知らなかった場合は、遺産分割協議をやり直す必要はありません。
戦争や災害などが原因で1年以上生死不明の場合、特別失踪の申立てができます。
失踪宣告されると法律上の死亡として扱われ、相続人ではなくなります。
特別失踪の申立ては、危難が去ったときから1年間生死がわからない場合に申立てが可能です。
危難が去ったときとは、個別の事例ごとに判断されます。
特別失踪の危難が去ったときの主な判断事例は、次の通りです。
特別失踪で失踪宣告を受けると、危難が去った日を死亡した日とみなします。
絶縁した兄弟に被相続人の財産を相続させたくないと思っても、なす術がありません。
しかし、相続人の振る舞いによっては、相続する権利を失う場合があります。
絶縁した兄弟が相続する権利を失う場合には、以下のものがあります。
相続廃除とは民法第892条に規定された、被相続人が相続権を持っている人を相続から外せる制度です。
被相続人に対して虐待や侮辱などの行為で苦痛を与えた特定の相続人に対して家庭裁判所に相続廃除の申立てを行えます。
相続廃除された推定相続人は相続権を剥奪されます。
第八百九十二条
遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して客体をし、もしくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
出典:e-Govポータル|民法
相続廃除は被相続人のみ申立てが可能です。
親の遺産を絶縁した兄弟に渡したくないと思っても、相続人である子は相続廃除の申立てはできません。
また、被相続人が相続廃除の申立てをしたとしても、裁判所が認めない場合もあります。
相続欠格とは相続の秩序を侵害する重大な不正を行った相続人に対し、相続権を奪う制裁措置です。
絶縁した兄弟に欠格事由が当てはまれば、相続権を失う可能性があります。
相続欠格事由には、以下の内容があります。
相続欠格は相続人の素行の良し悪しに関係なく、遺産を手に入れるために不正を行った者に適用されます。
絶縁が兄弟間のいさかいが原因であった場合、遺産相続のためのコミュニケーションがスムーズに取れない可能性があります。
絶縁した兄弟と遺産分割について話し合う際の注意点は、以下の通りです。
絶縁した兄弟間に心理的なわだかまりがある場合は、他の相続人に間に入ってもらい、話し合いを進めるのもトラブルを避けるための一つの手段です。
修復が見込めないほど関係が悪化しているなら、できるだけ接触の機会を持たずに他の親族の力を借りて、円滑に遺産分割協議の成立を目指す方が賢明な場合もあるでしょう。
相続申告には10カ月の期限があるため、不要な争いは避け、スムーズな遺産分割協議を行ってください。
相続問題はちょっとした気持ちのすれ違いでも、トラブルに発展するセンシティブな性質を持っています。
しばらく顔を合わせていない絶縁状態の兄弟が感情をあらわにしてしまうと、話しがこじれて収集がつかなくなる可能性もあるでしょう。
心理的な障壁のある兄弟と遺産分割についての話し合いをする際は、冷静な対応が必要です。
精神的なわだかまりがあっても、相続の話し合い中はできるだけ感情を押さえ理性的な判断を心がけてください。
遺産相続で絶縁した兄弟とトラブルに発展しそうなときは、弁護士に依頼するのが賢明です。
弁護士は代理人として煩わしい相続交渉を肩代わりするだけではなく、法律の専門家の知見を生かし、依頼者にとって有利な展開を目指して手続きを進めてくれます。
兄弟間の遺産分割協議が思うように進まないなら、相続関係に強い弁護士に相談して最善の解決を目指しましょう。
遺産分割協議の弁護士費用について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
関連記事:遺産分割協議の弁護士費用の相場は?メリットとデメリットについても解説
絶縁した兄弟との遺産分割協議で、トラブルを避けるための対策について解説しました。
複雑な感情が交錯する親族間であるからこそ、遺産相続はちょっとした気持ちのすれ違いでもトラブルに発展します。
特に、絶縁状態の兄弟の遺産分割協議は、難航するケースもあります。
そのようなときは、法律の専門家である弁護士に相談して、早期解決を図りましょう。
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弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
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