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死亡・亡くなった人の預金が少額の場合どうする?おろす方法と手続きや必要書類

亡くなった人の預金が少額の場合、おろせるか、そのまま放置してよいか、と悩む人もいるでしょう。
預金額が少額でも、口座解約や預金引き出しの取扱いは基本的には通常の預金と変わりません。
相続人だからと勝手におろすと、他の相続人との間でトラブルになる可能性もあります。
少額でも勝手に引き出しはNG: 亡くなった人の預金は少額でも相続財産であり、家族でも自由に引き出すことはできない。無断出金はトラブルや返還請求のリスクが高い。
口座凍結により原則出金不可: 銀行が死亡を把握すると口座は凍結され、金額の大小に関わらず引き出しはできなくなる。
正規の引き出しは相続手続きが必須: 預金を引き出すには、遺産分割協議や必要書類の提出などの相続手続きが必要。少額だから省略できるわけではなく、法的手続きを踏むことが重要。
仮払制度で当面の資金は確保可能: 葬儀費用や生活費が必要な場合は、仮払制度を利用すれば遺産分割前でも一定額まで引き出し可能。
少額でも簡易手続きが使える場合あり: 預金が少額の場合、金融機関ごとに簡易な払戻手続きが用意されているケースもある。ただし相続人の同意は必要で、事前確認がトラブル回避のカギ。
亡くなった人の預金が少額の場合の対処方法について、トラブルなく預金をおろす方法と手続き・必要書類、注意点をわかりやすく解説します。
相続分野の累計相談実績7,000件超のアクロピースでは、本記事テーマ(預金の引き出し・口座凍結・必要書類・相続放棄との兼ね合い等)について、あなたの状況に合わせた最適な手続き方針と具体的な進め方まで整理してご案内できます。
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亡くなった人の預金が少額の場合は相続手続き前におろせる?

身内の方が亡くなると、葬儀費用などのため相続手続き前に故人の預金を使いたいと思う人もいるでしょう。
しかし、少額でも相続手続き前に預金をおろすとトラブルになることがあります。
亡くなった人の預金の扱いは、次のようになります。
詳しく説明しましょう。
亡くなった人の預金は勝手におろせない
最高裁大法廷決定(2016年12月19日)により、
- 相続された預貯金債権は遺産分割の対象財産に含まれ
- 共同相続人による単独での払戻しができない
とされているのです。
出典:最高裁判所判例集|遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
遺産分割協議などの手続きを経て相続すれば、おろすことは可能です。
亡くなった人の預金口座は凍結される
亡くなったことを金融機関が知れば、残高の有無に関わらず口座はすぐ凍結されます。
金融機関は、通常、遺族からの連絡で死去を知り、口座を凍結します。
連絡がなくても、地域での営業活動を通じて訃報を伝え聞くこともあるでしょう。
亡くなった人の口座を凍結するのは、トラブルを未然に防止するためです。
関連記事:死亡した人の預金をおろすと罪になる?よくある相談例と解決策を解説
預金口座凍結後でも仮払いは可能
民法等の改正(2019年7月1日施行)により、
- 相続人が当面の生活費や葬儀費用などのために必要な場合は
- 遺産分割終了前であっても相続預金の払戻しが受けられる
ことになりました(預貯金の仮払い制度)。(民法909条の2)
以前は生活費や葬儀費用のためでも、遺産分割前は預金の払戻しはできませんでしたが、現在は仮払い制度により、金融機関の窓口で一定額の払戻しを受けられます。
⑴ 家庭裁判所の判断を経ずに払戻しが受けられる制度の創設
遺産に属する預貯金債権のうち、一定額については、単独での払戻しを認めるようにする。
(相続開始時の預貯金債権の額(口座基準))×1/3
×(当該払戻しを行う共同相続人の法定相続分)
=単独で払戻しをすることができる額
(例)預金 600 万円→長男 100 万円払戻し可(兄弟2人の場合)
※ただし、1 つの金融機関から払戻しが受けられるのは150万円まで
出典:法務省「預貯金の払い戻し制度の創設」
少額でも勝手におろせば罪になることもある
少額であっても預金を勝手におろせば、亡くなった人との関係によっては、窃盗罪に問われる場合があります(刑法235条)。
配偶者や直系血族・同居の親族は刑が免除されるとされており、罪に問われることは基本ありません(親族相盗例、刑法244条1項)。
その他の親族の場合は、親告罪です(刑法244条2項)。
同居していない相続人以外の親族や親族以外の第三者の場合は、親族相盗例が適用されず、罪に問われる可能性が高くなります。
関連記事:死亡した人の預金をおろすと罪になる?よくある相談例と解決策を解説

少額でも故人の預金を勝手に引き出すと、相続人間のトラブルや刑事責任のリスクにつながります。まずは相続のルールを確認し、正しい手続きを踏むことが大切です。
亡くなった人の預金口座を放置するとどうなる?


亡くなった人の預金口座の残高が少額の場合、「手続きが面倒だ」と、預金口座を放置する人もいるでしょう。
亡くなった人の預金口座を放置した場合、次のようになります。
詳しく解説します。
罰則はない
亡くなった人の預金口座をそのまま放置しても、罰則などはありません。
ただし、一定期間利用されていない口座については、管理手数料を徴収する金融機関もあるので注意が必要です。
口座を放置していると、後で払戻しを受けたいと思ったときに手続きが煩雑になることがあります。
休眠口座になるおそれがある
預金口座を長期間放置すると、休眠預金等活用法によって休眠口座(休眠預金)になるおそれがあります。
休眠預金とは入出金等の取引から10年間移動がない預金で、預金保険機構の管理に移される場合もあります(休眠預金等活用法2条6項、4条1項)。
休眠口座でも預金の払戻しは可能ですが、手続きはかなり煩雑です。
出典:預金保険機構「長い間お取引のない預金(休眠預金)」



放置しても直ちに罰則はありませんが、休眠口座になれば払い戻し手続きが煩雑になります。小額だからこそ『放置するのか手続きをするのか』を早めに判断しましょう。
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亡くなった人の預金が少額の場合の対処方法


亡くなった人の預金が少額の場合の対処法は、一般の金融機関とゆうちょ銀行で異なることがあります。
ゆうちょ銀行の場合
ゆうちょ銀行では、口座残高が100万円以下であれば「代表相続人」が預金を引き出せる簡易な手続きが用意されています。
代表相続人とは、相続人を代表して税務申告や金融機関で相続に関する手続きをする人で、相続人間の話し合いで選ぶのが一般的です。
手続きは他の相続人の印鑑等は必要なく代表相続人1人で行えますが、トラブル防止のため事前に他の相続人の了承を取っておきましょう。
銀行など一般の金融機関の場合
金融機関によってはゆうちょ銀行同様の簡易な手続きが用意されていることもあります。
金融機関に直接問い合わせて確認しましょう。
簡易な手続きがない場合は、通常の手続きで預金をおろすことになります。
具体的な方法は、後述の「【ケース別】亡くなった人の預金をおろす方法」で解説します。



ゆうちょ銀行や一部の金融機関では簡易な手続きが用意されています。ただし、簡単に払い戻せる場合でも、他の相続人に事前に知らせておくことでトラブルを防ぐことができます。
【ケース別】亡くなった人の預金をおろす方法


亡くなった人の預金をおろす方法について、以下のケースに分けて説明します。
亡くなる前におろす
生前に本人から依頼がある場合、本人の意思であることを証明するため、本人の委任状や領収書などをきちんと保管し、使用目的などを記録しておきましょう。
本人の意思であることを証明できなければ、親族や税務署から私的な利用・財産隠しなどと疑われるかもしれません。
関連記事:【生前に全額の預金をおろしておくことです】は本当?問題点と対応方法を解説
亡くなった後で口座凍結前におろす
故人の預金は少額でも、遺産分割が終わるまでそのまま保全しておくべきです。
葬儀費用などのため口座凍結前に故人の預金をおろしたい場合は、事前に他の相続人の了承を得ましょう。
民法は、遺産分割前に預金をおろした場合でも、相続人全員の同意を得れば、おろした預金を遺産分割時に存在するとみなすことができる、としています(民法906条の2)。
相続預金の仮払い制度を使っておろす
仮払いは、遺産分割前に故人の口座から預金を適法におろす制度です。
金額に限度はありますが、金融機関の窓口で払戻しを受けられます。
払い戻された預金は、後日、遺産分割で払戻しを受けた相続人が取得するものとして調整されます。
参考:全国銀行協会「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」
裁判所に仮分割の仮処分を認めてもらう
裁判所に預貯金の仮分割の仮処分申立てをし、認めてもらうと、他の相続人の同意を得ずに単独で預貯金を引き出せます(家事事件手続法200条3項)。
一定の要件(引き出す必要性、他の相続人の利益を害さないなど)があり、時間も費用もかかりますが、仮払い制度のような上限がなく、より多額を引き出せる制度です。
口座を解約しておろす
相続手続き前であっても、凍結されている口座を解約して預金をおろせます。
口座を解約することで凍結が解除され、預金残額が払い戻されるからです。
口座を解約する際は、相続人全員の同意が必要となります。
相続手続きをして口座凍結を解除しておろす
遺言書や遺産分割協議書などをもとに相続手続きをすれば、口座の凍結を解除できます。
最も一般的な方法です。
預金口座を引き継ぐ相続人は、手続き終了後はいつでも預金をおろせます。



『口座凍結前におろす』『仮払い制度を使う』『裁判所に申し立てる』など複数の方法があります。状況に応じて適切な手段を選び、必ず証拠を残しておくことが重要です。
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亡くなった人の預金が少額(100万円未満)でも知らないと損する3つのポイント
「少額だから手続きは簡単だろう」と考えて、かえって後でトラブルになるケースは少なくありません。残高が100万円未満であっても、口座は名義人の死亡を金融機関が把握した時点で凍結され、相続人であっても自由には引き出せなくなります。
ここでは、少額の相続預金を引き出す前に必ず押さえておきたい3つのポイントを、弁護士の視点から整理します。まず全体像を理解したうえで、ご自身のケースに合った方法を選んでください。



少額のご相続ほど「これくらいなら勝手に下ろしても大丈夫」と思われがちですが、後から他の相続人に使い込みを疑われる火種になります。金額の大小にかかわらず、正規の手続きで引き出すのが結局いちばん安全です。
ポイント1|少額でも口座は凍結される(残高ゼロ・自動引落も止まる)
金融機関は、名義人の死亡を確認すると預貯金口座を凍結します。これは残高が少額でも、ほぼゼロでも例外ではありません。凍結されると、ATMでの引き出しはもちろん、公共料金や家賃の自動引き落とし、年金の受け取りもすべて止まります。
そのため「少額だから放置でよい」と考えると、引き落としができずに別の支払い遅延が発生したり、口座が長期間放置されて休眠預金扱いになったりするリスクがあります。少額であっても、早めに正しい手続きで整理しておくことが大切です。
関連記事:口座をそのまま使い続けるリスク
ポイント2|遺産分割前でも引き出せる「預貯金の払戻し制度」(150万円・3分の1ルール)
2019年7月に始まった「預貯金の払戻し制度」(民法909条の2)を使えば、遺産分割が終わる前でも、相続人が単独で一定額を引き出せます。引き出せる上限は『相続開始時の預貯金残高 × 3分の1 × ご自身の法定相続分』で、かつ1つの金融機関につき150万円までです。
少額(100万円未満)の口座であれば、この制度だけで全額に近い金額を引き出せるケースも多く、他の相続人の同意を待たずに葬儀費用や当面の生活費を確保できます。必要書類は被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍と印鑑証明書などです。



少額のご相続では、この払戻し制度だけで実務上ほぼ完結することが多いです。全員の同意を取り付ける手間をかけずに済むので、まずこの制度で引き出せる上限を計算してみることをおすすめします。
ポイント3|銀行ごとに上限・必要書類・簡易手続きが違う(銀行別早見表)
少額相続の手続きは、金融機関ごとに必要書類や受付方法が異なります。ゆうちょ銀行・JAバンク(農協)・三菱UFJ・三井住友・みずほ・りそななど、主要な金融機関では「少額の相続専用の簡易手続き」を用意している場合があり、戸籍一式の提出を一部省略できることもあります。
下記の早見表で、ご利用の金融機関の『少額の上限目安』『簡易手続きの有無』『必要書類』『窓口・郵送の可否』をご確認ください。なお取扱いは改定されることがあるため、最終的には各金融機関の最新案内をご確認ください。
預金をおろす際の4つの注意点


預金をおろす際に注意すべきポイントが4つあります。
1.まず被相続人の全財産を調べる
最初に亡くなった人(被相続人)の全財産を調べることが重要です。
実は多額の借金があったなど、想定外の事態もあり得ます。
遺産が全体としてプラスか、マイナスかによって対応の仕方が変わってきます。
預金口座や借入れはどのようなものがあるのか、通帳だけでなく、カードや金融機関からの通知なども確認しましょう。
2.預金を自分のために使うと相続単純承認になる
亡くなった人の預金をおろして自分のために使うと、民法により相続の単純承認とみなされます(民法921条1号)。
単純承認とは、相続人が被相続人の権利義務を無限に承継することの承認です(民法920条)。
たとえ多額の借金があっても相続放棄ができず、承継するリスクがあります。
3.遺産分割協議の際にトラブルになるおそれがある
預金をおろせたとしても、相続人全員にきちんと話をしていない場合は、遺産分割協議の際にトラブルになるおそれがあります。
故人の預金は遺産分割協議の対象ですから、分割前におろすときは相続人全員の了承が必要です。
葬儀費用に充てられる場合もありますが、必ず領収書を取っておきましょう。
4.遺産分割協議は相続人全員で行う必要がある
遺産分割は、相続人全員が参加し相続財産の分け方を決定する手続きです(民法907条1項)。
相続人が複数いる場合、遺言がないときは相続人全員で遺産分割協議を行わなければなりません。



預金を自分のために使ってしまうと単純承認とみなされ、借金まで引き継ぐリスクがあります。相続放棄を検討する場合は特に慎重に行動してください。
亡くなった人の預金口座に関する手続きの流れと必要書類


一般金融機関の手続きの流れと必要書類を紹介します。
1.預金口座がある銀行に連絡する
身内の方が亡くなったときは、通帳やキャッシュカードから取引銀行・支店名などを調べ、口座名義人が死去したことを伝えましょう。
その際、取るべき手続きの流れや必要書類を聞いておきましょう。
取引先に連絡すると、ほとんどの場合その日のうちに口座が凍結されます。
2.必要書類を揃える
預金をおろす際に必要な書類は、死去の事実を確認できるもの、正当な相続人であることや相続内容の証明書類です。
戸籍謄本・遺産分割協議書などですが、ケースによって若干異なります(「4必要書類一覧」を参照)。
3.必要書類を提出して解約や名義変更をする
必要書類がまとまり次第、取引先窓口に提出し、解約・名義変更などの手続きを進めましょう。
手続きが終わると被相続人の口座は解約され、現金を受け取るか、相続人の口座に振り込まれます。
4.必要書類一覧
必要書類は、ケース別に次表のとおりです。
| 遺言書がある場合 | 遺産分割協議書がある場合 | どちらもない場合 |
|---|---|---|
| 相続届(相続手続依頼書) | 同左 | 同左 |
| 遺言書 検認調書(検認済証明書) |
遺産分割協議書 | ― |
| 被相続人の 戸籍謄本(全部事項証明書) |
被相続人の 出生から死亡までの連続した 戸籍謄本(除籍謄本・改正原戸籍) |
同左 |
| 預金口座の受贈者(相続人)の 印鑑登録証明書 |
相続人全員の戸籍謄本・印鑑登録証明書 | 同左 |
| 通帳・キャッシュカード | 同左 | 同左 |
※1:自筆証書遺言で遺言書保管制度を利用の場合、検認調書(検認済証明書)は不要
※2:法定相続情報証明制度を利用の場合、戸籍謄本に代え法定相続情報一覧図でも可
※3:遺産分割協議書は、法定相続人全員が署名捺印、印鑑登録証明書を添付
| 遺言書がある場合 | 遺産分割協議書がある場合 | どちらもない場合 |
|---|---|---|
| 相続届(相続手続依頼書) | 同左 | 同左 |
| 遺言書 検認調書(検認済証明書) | 遺産分割協議書 | ― |
| 被相続人の 戸籍謄本(全部事項証明書) | 被相続人の 出生から死亡までの連続した 戸籍謄本(除籍謄本・改正原戸籍) | 同左 |
| 預金口座の受贈者(相続人)の 印鑑登録証明書 | 相続人全員の戸籍謄本・印鑑登録証明書 | 同左 |
| 通帳・キャッシュカード | 同左 | 同左 |
※1:自筆証書遺言で遺言書保管制度を利用の場合、検認調書(検認済証明書)は不要
※2:法定相続情報証明制度を利用の場合、戸籍謄本に代え法定相続情報一覧図でも可
※3:遺産分割協議書は、法定相続人全員が署名捺印、印鑑登録証明書を添付
遺産分割協議書や戸籍謄本などは、他の口座や不動産の名義変更の際にも必要なため、コピーしてもらい、原本は返却してもらいましょう。



金融機関によって必要書類は異なりますが、戸籍謄本や遺産分割協議書は他の相続手続きにも使えます。原本を返却してもらうよう依頼し、効率的に活用しましょう。
少額の相続預金を確実に引き出す2つの方法と、やってはいけないNG行動
少額の相続預金を正規に引き出す方法は、大きく分けて2つあります。1つは前述の『預貯金の払戻し制度』、もう1つは『相続人全員の同意による解約・払戻し』です。金額やご家族の状況に応じて使い分けます。
あわせて、少額だからこそやってしまいがちな『無断での引き出し』が、後に大きなトラブルへ発展する点も解説します。
方法1|預貯金払戻し制度で引き出す(単独・同意不要)
預貯金払戻し制度は、他の相続人の同意を得ずに、相続人が単独で手続きできるのが最大のメリットです。窓口で「払戻し制度を利用したい」と伝え、被相続人の戸籍一式・相続人の戸籍・印鑑証明書・本人確認書類などを提出します。
少額の口座であれば上限内で全額を引き出せることも多く、葬儀費用や当面の支払いに充てられます。引き出した金額は遺産分割の際に『すでに受け取った分』として精算されるため、後で他の相続人とトラブルになりにくいのも利点です。
方法2|相続人全員の同意による解約・払戻し(口座を完全に閉じる)
口座そのものを解約してすべて引き出す場合は、相続人全員の同意が必要です。金融機関所定の相続届に相続人全員が署名・実印を押し、印鑑証明書・戸籍一式・通帳やキャッシュカードなどを添えて提出します。遺言書や遺産分割協議書がある場合はそれも併せて提出します。
少額でも全員の協力が前提となるため、相続人が遠方にいる・連絡が取りにくいといった場合は、払戻し制度のほうが早く解決できることがあります。状況に応じて方法1と使い分けてください。
NG行動|死亡の前後に無断で引き出すと使い込み・贈与税のリスク
「少額だから」とキャッシュカードで無断に引き出す行為は、たとえ葬儀費用のためであっても避けるべきです。後から他の相続人に『使い込み』を疑われ、使途の説明や返還を求められることがあります。また、亡くなる直前にまとまった金額を引き出すと、贈与税や相続税の問題が生じる場合もあります。
少額であっても、引き出す際は必ず正規の手続きを取り、領収書や明細を保管しておくことがトラブル防止につながります。



金額が少額でも、無断の引き出しは相続人どうしの信頼を一気に損ないます。「葬儀費用に使った」と説明できる記録さえ残っていれば防げた争いを、私どもは数多く見てきました。
関連記事:死亡前後の引き出しと違法性・贈与税
ゆうちょ銀行の相続手続きの流れと必要書類


ゆうちょ銀行は一般の金融機関とは異なり、次のような特徴があります。
- どの支店でも手続きできる
- 振込先の選択肢は少ない
- 窓口に2回は行く
- 窓口は相続に詳しくない場合もある
上記も踏まえ、ゆうちょ銀行の相続手続きの流れと必要書類を確認しておきましょう。
ゆうちょ銀行の相続手続きの流れ
- 相続の申出(近くのゆうちょ銀行・郵便局貯金窓口)
- 相続確認表の準備・提出
- 必要書類の準備(「必要書類のご案内」が郵送される)
- 必要書類の提出
- 相続払戻金の受取り(代表相続人の通常貯金口座に入金)
相続確認表は、遺言書等の有無、故人・相続人情報等を記入するものです。
ゆうちょ銀行で必要となる書類
- 相続の申し出時
- 相続確認表
- 必要書類の提出時
- 相続人が確認できる戸籍謄本等
- 相続人の印鑑登録証明書
- 亡くなった方の預金通帳等
- 遺言書や遺産分割協議書(ある場合 )
詳細は「相続確認表」提出後に送付される「必要書類のご案内」を参照、相続Web案内サービスでも確認可能です。
参考:ゆうちょ銀行「ゆうちょ銀行の相続手続き」



ゆうちょ銀行は全国どの窓口でも手続きできますが、職員が相続に詳しくないこともあります。事前に必要書類を確認し、余裕を持って対応することをおすすめします。
【金融機関別】亡くなった人の少額預金 手続き比較ガイド
被相続人がどの金融機関で口座を持っていたかによって、必要書類・所要期間・手数料は微妙に異なります。ここでは、ゆうちょ銀行・メガバンク・地方銀行・ネット銀行の4つに分けて、少額預金の引き出し手続きを比較します。
ゆうちょ銀行|全国どの店舗でも手続き可能・期間2〜3週間
ゆうちょ銀行は、貯金事務センターでの一括処理となるため、全国どの店舗からでも手続きが可能です。必要書類は『相続確認表』『被相続人の戸籍謄本一式』『相続人全員の戸籍謄本』『印鑑証明書』など。書類提出から払戻完了まで通常2〜3週間程度かかります。
少額(100万円以下程度)であれば、相続確認表の提出後に簡易な手続きで払戻が可能なケースもあります。
メガバンク・地方銀行|支店ごとの個別対応・期間2〜4週間
三菱UFJ・三井住友・みずほなどのメガバンクや地方銀行は、口座を開設した支店または相続専用窓口での手続きが原則です。必要書類は概ねゆうちょ銀行と同じですが、銀行ごとに『相続届』のフォーマットが異なります。
期間は2〜4週間程度。窓口が混雑する3〜5月は遅れることがあります。
ネット銀行|オンライン申請可・郵送往復で期間3〜5週間
楽天銀行・住信SBIネット銀行・PayPay銀行などのネット銀行は、まずWebサイトの『相続手続き』ページから申請を行います。書類のやり取りは郵送が中心で、店舗窓口での即日対応はできません。
被相続人がネット銀行にいくつ口座を持っていたか把握できていないケースも多いため、メールやスマホアプリの履歴も確認してください。



最近はネット銀行の口座が見落とされがちです。被相続人のスマホやメールに「○○銀行」の文字がないか必ず確認しましょう。
銀行の預金口座をそのままにした方がよい場合もある


次のような場合は、銀行の預金口座をそのままにした方がよいでしょう。
相続放棄を検討している場合
少額でも預金をおろすと相続の単純承認となり、放棄を認められない可能性があります。
預金の使用目的によっては金額が相当であれば放棄を認められますが、注意が必要です。
預金残高の割に手続きが面倒な場合
残高がごく少額の場合、手続きの手間や費用を考えるとそのままにする選択肢もあります。
ただし、口座管理費などの手数料徴収がありうること、10年経過すると休眠口座になる可能性があることなどに注意が必要です。



相続放棄を検討している場合や残高が極めて少ない場合には、あえて放置という選択もあり得ます。ただし、放置するリスクや管理費用の有無も必ず確認しておきましょう。
亡くなった人の少額預金についてよくある質問
少額預金の引き出しに関して、ご相談時によくいただく質問をまとめました。
Q1|10万円以下の少額でも相続手続きは必要ですか?
金額にかかわらず原則として相続手続きが必要です。ただし、銀行によっては『簡易な相続手続き』が用意されており、必要書類が少なくて済むケースがあります。事前に各銀行の相続専用窓口に確認しましょう。
Q2|少額預金でも相続税の申告対象になりますか?
少額の預金単体では申告対象にならないことが多いですが、不動産・他の預金・有価証券など全相続財産の合計額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超える場合は、少額預金も含めて申告が必要です。
Q3|不動産の相続登記も必要になりますか?
被相続人が不動産を所有していた場合、2024年4月から相続登記が義務化されています(3年以内)。少額預金とあわせて不動産がある場合は、登記手続きも忘れずに行う必要があります。
少額預金から大きなトラブルに発展しないようサポートした事例2選
少額預金にまつわるトラブルから発展した解決事例2件をご紹介します。



少額だからと放置すると、後の相続全体に影響することがあります。
事例1|父の通帳から消えた数千万円、兄の使途不明金を追及し調停で解決
少額の預金管理を任せていた相続人が、徐々に大きな額を使い込んでいたケース。23条照会で取引履歴を遡及取得し、使途不明金の半分以上を認定させて和解成立しました。
この事例の詳細 → https://acropiece-lawfirm.com/sozoku/kaiketsujirei/case15/
事例2|相続放棄相談から財産調査・調停で2,000万円の遺留分を獲得
少額預金の存在を端緒に財産調査を進めたところ、想定外の遺産・生前贈与が判明。最終的に2,000万円の遺留分を獲得した事例です。
この事例の詳細 → https://acropiece-lawfirm.com/sozoku/kaiketsujirei/case20/
少額の相続預金をトラブルなく引き出せた解決事例2選
ここでは、少額の相続預金をめぐってご相談いただき、スムーズに解決できた事例を2件ご紹介します(プライバシーに配慮し、内容は一部変更しています)。
事例1|ゆうちょの少額預金を、兄弟の同意を待たずに葬儀費用へ充てた事例
ご相談者は、お母様が亡くなり、ゆうちょ銀行に約80万円の預金がありました。兄弟の一人と連絡が取りにくく、全員の同意を得るのに時間がかかりそうな一方、葬儀費用の支払いが迫っていました。
私どもは預貯金払戻し制度の利用をご提案し、必要書類の収集を代行。約2週間で上限内の金額を引き出し、葬儀費用に充てることができました。引き出した分は後の遺産分割で精算したため、兄弟間のトラブルも生じませんでした。
事例2|複数行に分散した100万円未満の口座を一括で解約・分配した事例
ご相談者のお父様は、複数の銀行に少額ずつ預金を残して亡くなりました。1行あたりは数十万円でしたが、合計すると相続手続きが必要な金額で、各行で書類を揃えるのが大きな負担になっていました。
私どもは戸籍一式をまとめて取得し、各金融機関の相続届を一括で作成・提出。相続人全員の同意のもとで全口座を解約し、法定相続分どおりに分配しました。少額でも金融機関ごとに手続きが異なるため、まとめて代行することでご負担を大きく減らせた事例です。
まとめ


亡くなった人の預金が少額の場合、勝手におろせません。
- 預金は遺産分割協議の対象財産になる
- おろすときは他の相続人の同意が必要
- 預金をおろす手続き・必要書類は遺言書の有無などによって異なる
- 対処方法はゆうちょ銀行と一般の金融機関で異なる
- 放置すると休眠口座になるおそれもあるが、そのままにした方がよい場合もある
どうすべきかわからないとき、悩むときは法律の専門家である弁護士法人アクロピースにご相談ください。



少額預金でも扱いを誤れば大きなトラブルに発展します。判断に迷ったら早めに弁護士に相談し、自分にとって最適な方法を選ぶことが安心につながります。
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