共有名義のマンションを売却するには?売却方法や費用・注意点を弁護士が解説

共有名義の マンションを 売却するには?
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弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
東京弁護士会・東京税理士会所属

「共有名義のマンションを売却したいけど、手続きが複雑そうで不安」
「他の共有者と揉めず、スムーズに売却する方法はないだろうか」

共有名義の売却は、民法251条の「処分は共有者全員の同意を要する」という規定により、法律上、単独名義よりも手続きが複雑になる点が特徴です。売却方法や費用、税金、起こりうるトラブルなど、知っておくべき知識は数多く存在します。

この記事では、売却が難しい理由や具体的な4つの売却方法を解説します。トラブル対処法や税金の注意点まで紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

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目次

共有名義のマンションを売却する4つの方法

共有名義のマンションを売却する方法は、1つではありません。状況に応じて、主に4つの選択肢が考えられます。

どの方法がご自身の状況に最も適しているか、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら検討しましょう。

以下、それぞれの方法について詳しく解説していきます。

共有者全員の同意を得て「マンション全体」を売却する

共有者全員の同意を得て「マンション全体」を売却するのは、一般的でかつ経済的メリットが最も大きい方法です。

共有者全員が協力して、一つのマンションとして市場で売却します。権利関係が複雑な「持分」ではなく完全な「所有権」として扱うため、通常の相場価格で売却できる点が特徴です。

売却後は、売却代金から仲介手数料などの諸費用を差し引いた金額を、持分割合に応じて分配します。

ただ、マンション全体を売却するためには、売却価格や時期、依頼する不動産業者など、すべての条件について共有者全員の合意が必要です。

売却価格について気になる場合は、以下の記事を参考にしてみてください。

関連記事:共有持分売却相場はどのくらい?市場価格より安い理由と高く売る方法を解説

自分の「共有持分のみ」を売却する

「他の共有者が売却に同意してくれない」「早く縁を切りたい」という場合は、自分の共有持分のみを売却する方法も一つです。

自分の共有持分は、個人の財産権です。そのため、他の共有者の同意がいらず、自由に売却できます。

ただ、買い手がその共有持分だけを購入しても、そこに住んだり、全体を売却したりするには他の共有者の同意が必要です。

そのため、一般の個人が買い手になることは稀で、持分買取を専門とする不動産業者が買い取ることになります。実務上、共有持分のみの買取価格は、マンション全体の時価の概ね1/2〜1/3程度にとどまるケースが多いとされています(物件や交渉状況により変動あり)。

共有持分の売却については、以下の記事でも詳しく解説しています。併せて参考にしてみてください。

関連記事:共有持分は売却できる?同意なしで売れる理由やトラブル回避のポイントを弁護士が解説

他の共有者の持分を買い取り「単独名義」にしてから売却する

他の共有者の持分を買い取って単独名義にし、売却する方法もあります。もし自分に十分な資金があり、他の共有者が「自分の持分だけ現金化したい」と望んでいる場合に有効な方法です。

まず、他の共有者から持分を買い取り、マンション全体を自分一人の「単独名義」にします。単独名義になれば、その後の売却活動はすべて自分の意思で自由に行うことが可能です。

売却価格や時期も自分で決められるため、市場の動向を見ながら高値で売却できる可能性もあります。

ただし、「いくらで買い取るか」は問題になりやすいポイントです。他の共有者との間で、持分の買取価格について公平な合意を形成する必要があります。

共有物分割請求訴訟により売却する

話し合いが完全に決裂したり、一部の共有者と連絡が取れなかったりする場合は、法的手続きによる解決を検討します。

裁判所に対して「共有物分割請求訴訟」を提起する方法です。共有物分割請求訴訟をすると、裁判所が共有状態を解消するために公平な方法を判断します。

マンションの場合、物理的に分割(現物分割)することは不可能です。そのため、多くの場合、以下のいずれかの判決が下されます(民法第258条第2項・第3項)。

換価分割不動産を売却して現金化し、その現金を共有者間で分け合う方法
全面的価格賠償共有物を特定の共有者一人が単独で取得し、他の共有者にはその持分に見合った代金を支払う方法

訴訟は時間や費用がかかるうえ、共有者間の関係修復も難しくなります。あくまでも最終手段と考え、まずは共有者全員で話し合って解決することを優先しましょう。

共有物分割請求訴訟については、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:共有物分割請求訴訟の手続きの流れ!メリット・デメリットなどをわかりやすく解説

【ステップで解説】共有名義のマンション全体を売却する流れ

ここでは、上記で紹介した4つの方法の中でも一般的な、「共有者全員の同意を得てマンション全体を売却する」場合の具体的な流れを5つのステップで解説します。

手続きを円滑に進めるため、各ステップで誰が何をすべきかを明確にしておきましょう。

STEP
ステップ1:共有持分割合と名義人を確認する

共有名義のマンションを売却する際は、現状把握が最優先です。法務局で「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得し、以下の情報を正確に確認します。

確認する情報
  • 現在の共有名義人は誰か(相続登記が漏れていないか)
  • それぞれの共有持分割合は何%か

この情報は売却時の同意権や利益配分に直結するため、誤解やトラブルを防ぐためにも最初に正確に把握しておきましょう。

とくに離婚や相続で名義が複雑になっている場合は、法務局で最新の登記内容を確認することが大切です。

なお、亡くなった共有者の相続登記が未了のままでは、売却手続きは進められません。その場合は、まず相続登記を完了させ、現在の正しい権利状態を確定させる必要があります。

STEP
ステップ2:不動産業者に査定を依頼する

次に、売却の目安となる価格を把握します。複数の不動産業者に査定を依頼し、査定書を取得しましょう。

この査定書は、次のステップで共有者間の合意を形成するための客観的な資料として非常に重要です。

不動産業者に査定依頼をする際、自分が他の共有者の持分の買取りを行う場合には、共有名義であることを事前に伝えることが大切です。また、共有者間の合意形成で適切な説明ができるよう、査定価格の根拠も明確にしてもらいましょう。

共有名義の不動産を売却する際のトラブルについて知りたい場合は、以下の記事を参考にしてみてください。

関連記事:共有名義の不動産売却時のトラブルと防止対策!共有持分売却の対処法も解説

STEP
ステップ3:共有者全員で話し合って売却方針を決定する

ステップ2で得た査定書などの資料をもとに、共有者全員で売却方針を決定します。決定すべき主な項目は、以下のとおりです。

決定すべき主な項目
  • 売却する場合の「最低売却価格」はいくらにするか
  • 売却の時期はいつ頃にするか
  • 諸費用(仲介手数料、税金など)の負担割合
  • 売却活動の窓口となる代表者を誰にするか

ここで合意した内容は、後で「言った・言わない」のトラブルにならないよう、必ず書面(合意書)として残しておきましょう。

弁護士 佐々木一夫

弁護士に依頼し、法的に有効な合意書を作成してもらうと安全です。

STEP
ステップ4:不動産業者と媒介契約を締結する

売却方針が固まったら、正式に売却活動を依頼する不動産業者を選び、「媒介契約」を締結します。

媒介契約書には、原則として共有者全員の署名・捺印が必要です。

ただ、一般的には、ステップ3で決めた代表者が窓口となり、他の共有者は「委任状」を代表者に預ける形で手続きを進めます。

弁護士 佐々木一夫

全員が不動産業者の事務所に集まる必要はなく、郵送でのやり取りも可能です。

STEP
ステップ5:売買契約の締結と決済をする

買主が見つかり売買条件が合意に至ったら、買主と「売買契約」を締結します。この際も、原則として共有者全員の実印と印鑑証明書が必要です。

契約後、最終的な引渡し日(決済日)に、買主から売買代金が支払われます。同時に、司法書士が買主への所有権移転登記と、売主の抵当権抹消登記(ローンが残っている場合)を行います。

売買代金は、指定された口座(通常は代表者口座)に振り込まれた後に諸費用を清算し、残額を持分割合に応じて各共有者に分配して完了です。

共有名義のマンションを売却する際によくあるトラブルと対処法

共有名義のマンション売却は金銭と感情が絡み合うため、トラブルになりやすいのが実情です。

ここでは、共有名義のマンションを売却する際によくある3つのトラブルと、その法的対処法を解説します。

共有不動産のトラブルについては、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:共有名義の不動産売却はトラブルに要注意!回避策とスムーズに売る方法

ケース1:共有者の一人が売却に非協力的

「売却には反対」「話し合いに応じない」という共有者が一人でもいると、全員の同意が必要な全体での売却はできません

まずは、なぜ非協力的なのか、その理由を冷静に探ることが重要です。その後、以下のように対処しましょう。

非協力的な人への対処法
  • 住み続けたい場合:その人に他の持分を買い取ってもらう(価格交渉)
  • 価格に不満がある場合:客観的な査定書を見せて説得する
  • 単なる嫌がらせの場合:話し合いでの解決は困難なため、弁護士に相談する

説得が不可能な場合は、前述の「自分の持分のみ売却する」か、弁護士に依頼して「共有物分割請求訴訟」に移行することを検討しましょう。

ケース2:共有者の一人と連絡が取れない

行方不明や音信不通の共有者がいる場合、売却の同意を得られません。この場合、以下のような手続きを踏む必要があります。

スクロールできます
1.住所の調査住民票や戸籍の附票を取得し、現住所を徹底的に調査します。
2.不在者財産管理人の選任住所が判明しても応答がない場合や行方不明の場合は、家庭裁判所に申し立てて「不在者財産管理人」を選任してもらいます。

この管理人は、本人の代わりに売却の同意(裁判所の許可が必要)をすることが可能です。
3.共有物分割請求訴訟裁判所の「公示送達」でもって相手方に書類が届いたものとみなし、訴訟を進めます。
弁護士 佐々木一夫

いずれも専門的な手続きが必要なため、早めに弁護士に相談するようにしましょう。

ケース3:相続で名義人が増えすぎて意見がまとまらない

相続を繰り返した結果、共有者が10人以上に膨れ上がっているケースもあります。この場合、全員の本人確認と意思確認を行うだけでも膨大な労力がかかります。

まずは戸籍を遡って全相続人を確定させ、一人ひとりと交渉していきましょう。

当事者間での交渉は感情的になりがちなため、第三者である弁護士が代理人として入ることで、冷静な話し合いが進むケースも多くあります。

弁護士 佐々木一夫

全員の合意が現実的でないと判断した場合は、速やかに共有物分割請求訴訟に切り替えることが大切です。

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共有名義のマンションの売却が難しい・できない理由

なぜ、共有名義のマンション売却は「難しい」「できない」といわれるのでしょうか。ここでは、主な理由を3つのポイントに分けて解説します。

以下、それぞれ具体的に解説します。

売却には全員の同意が必要なため

共有名義の不動産全体を売却(処分行為)する場合、民法の規定により、共有者全員の同意が必須です(民法第251条)。一人でも反対する人がいれば、法的には売却手続きを進められません。

この「全員の同意」というルールは、共有者それぞれの財産権を守るために定められたものです。

とくに、売却したい人・住み続けたい人・何も考えていない人の足並みを揃えなければならない場合、かなり難しくなるでしょう。感情的な対立に発展することもあり、結果として売却が長期化したり、頓挫したりすることも少なくありません。

関連記事:共有名義不動産は売却できない?よくあるトラブルと持分売却方法を解説

売却価格やタイミングで意見が割れやすいため

仮に全員が売却自体には同意したとしても、次に具体的な条件で揉めるケースもよくあります。

意見が割れやすいポイントは、以下のとおりです。

意見が割れやすいポイント
  • 売却価格:「少しでも高く売りたい」「早く現金化したいから安くても構わない」
  • 売却のタイミング:「今すぐ売りたい」「数年後に高く売れるまで待ちたい」
  • 売却方法:「不動産業者に頼む」「知人に直接売りたい」

とくに親族間の相続で共有名義になった場合、不動産に対する思い入れや各自の経済状況はそれぞれ異なります。金銭が絡む問題のため感情的な対立にも発展しやすいのが実情です。

登記・相続関係が複雑になりやすいため

共有名義のマンションは、時間の経過とともに権利関係が複雑化するリスクを抱えています。

たとえば、共有者の一人が亡くなると、その人の「共有持分」は相続人に引き継がれます。相続人が複数いれば、その持分はさらに細分化されるのが特徴です。

以下のように、相続が数代にわたって繰り返されると、誰が共有者なのか把握することさえ困難になるケースも珍しくありません。

共有者が複雑になるケース
  1. 当初はA・B・Cの3人(持分1/3ずつ)で共有
  2. Aが死亡し、子D・Eが相続(D・Eは持分1/6ずつ)
  3. Bが死亡し、妻Fが相続(Fは持分1/3)
  4. 共有者はC(1/3)・D(1/6)・E(1/6)・F(1/3)の4名に増加
弁護士 佐々木一夫

このように、名義人が増えれば増えるほど、全員の同意を取り付ける難易度は高くなります。

共有名義のマンションを売却する際にかかる費用・税金

マンションの売却時には、さまざまな費用や税金が発生します。主な費用は以下のとおりです。

共有名義のマンションを売却する際にかかる費用・税金

これらの費用は、原則として売却代金から支出し、持分割合に応じて各共有者が負担します。

誰が何をいくら負担するのか、事前に把握しておくことが重要です。

仲介手数料

仲介手数料は、マンションの売却を依頼した不動産業者に対して支払う「成功報酬」です。

不動産業者は、売却価格の査定や販売活動、購入者への引き渡しなど、売却に関する一連の業務を代行してくれます。

成功報酬のため、もし売却活動を依頼しても買い手が見つからなかった場合は、基本的に請求されることはありません。

この手数料には法律(宅地建物取引業法)で上限額が定められています。主な上限は、以下のとおりです。

仲介手数料の上限
  • 売買価格が200万円以下の場合:売買価格 × 5%+消費税
  • 売買価格が200万円超400万円以下の場合:売買価格 × 4%+2万円+消費税
  • 売買価格が400万円を超える場合:(売買価格 × 3% + 6万円) + 消費税

出典:国土交通省|<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ

支払うタイミングは不動産業者との契約によりますが、「売買契約成立時に半額、引き渡し完了時に残りの半額」を支払うケースが一般的です。

登記関連費用

登記関連費用は、マンションの売却に伴って発生する登記手続きを「司法書士」に依頼するためにかかる費用です。国に納める「登録免許税(税金)」と、司法書士への「報酬」の合計で構成されます。

売主側で必要となる主な登記は以下のとおりです。

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抵当権抹消登記住宅ローンを利用してマンションを購入した場合、金融機関の「抵当権」が設定されています。

住宅ローンを完済していても、自動的には抹消されません。売却時には、ローン残債を完済し、買主に完全な所有権を渡すために、この抵当権を抹消する登記が必須です(通常、引き渡しと同時に行います)。
住所変更登記登記簿に記載されている住所(購入時の住所)と、現在の住所(印鑑証明書の住所)が異なる場合に必要です。

本人確認を正確に行い、所有権を移転させる前提として、登記簿の住所を現住所に変更しなければなりません。
相続登記相続登記が完了していない(亡くなった方の名義のままになっている)不動産を売却する場合、所有権移転登記をするためには、所有権移転登記に先立ち(または同時に)、相続登記を行う必要があります。

これらの登記は専門知識を要するため、司法書士に依頼するのが一般的です。なお、売主から買主への「所有権移転登記」も発生しますが、その費用は商慣習上、買主が負担することがほとんどです。

印紙税

印紙税は、経済的な取引に関して作成される「課税文書」に対して課される税金です。不動産売買においては、「不動産売買契約書」がこの課税文書にあたります。

売買契約書は、通常、売主用と買主用に合計2通作成されます。この場合、売主と買主がそれぞれ自分の手元に保管する契約書1通分の印紙税を負担するのが一般的です。

共有名義で売主が複数名いる場合でも、契約書1通あたりにかかる税額は変わりません。売主側で負担する印紙税(1通分)を、共有者間で持分割合に応じて清算することが多いです。

なお、不動産売買契約書の印紙税には軽減措置が設けられています。

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契約金額本則税率軽減税率(※)
10万円超 50万円以下400円200円
50万円超 100万円以下1,000円500円
100万円超 500万円以下2,000円1,000円
500万円超 1,000万円以下1万円5千円
1,000万円超 5,000万円以下2万円1万円
5,000万円超 1億円以下6万円3万円
1億円超 5億円以下10万円6万円
※令和9年(2027年)3月31日までに作成された契約書には軽減税率が適用されます。

出典:国税庁|不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

譲渡所得税・住民税

譲渡所得税・住民税は、マンションを売却して利益(譲渡益)が出た場合にのみ、その利益(譲渡所得)に対して課される税金です。売却価格そのものに課税されるわけではないため、購入時より安く売れた(利益が出なかった)場合は課税されません。

譲渡所得税・住民税額は、以下の計算式で算出されます。

譲渡所得税・住民税額の計算式
  1. 譲渡所得 = 売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)
  2. 税額 = 譲渡所得 × 税率

1の計算でプラスになった場合は、所有期間に応じて税率を選択します(売却した年の1月1日時点で判断)。

税率の詳細
  • 短期譲渡所得(所有期間5年以下):39.63%(所得税30% + 復興特別所得税0.63%※ + 住民税9%)
  • 長期譲渡所得(所有期間5年超):20.315%(所得税15% + 復興特別所得税0.315%※ + 住民税5%)

※平成25年から令和19年(2037年)まで、復興特別所得税として基準所得税額の2.1%が加算

共有名義の場合、それぞれ自分の持分に対応する部分について個別に譲渡所得を計算し、確定申告を行う必要がある点に注意しましょう。

出典:国税庁|土地や建物を売ったとき

共有名義のマンションを売却する際に注意すべきポイント

共有名義のマンションを売却するうえで、法務・税務上とくに注意すべきポイントを5つ解説します。

見落としがあると大きなトラブルになりかねないため、必ず確認しておきましょう。

売却時に立ち会えない共有者は委任状の作成が必要

売買契約や決済(引渡し)には、原則として共有者全員が立ち会い、署名・捺印(実印)をする必要があります。

しかし、遠方に住んでいたり、仕事の都合がつかないなどの理由で立ち会えなかったりする共有者もいることでしょう。

その場合、立ち会えない共有者は、他の共有者や弁護士・司法書士を代理人として「委任状」を作成する必要があります。

弁護士 佐々木一夫

委任状があれば、代理人が本人の代わりに契約行為を行うことが可能です。

利益(譲渡益)が出た場合は確定申告をする

前述の通り、売却によって利益(譲渡所得)が出た場合、各共有者は持分に応じた利益について、翌年に確定申告を行う義務があります。

売却代金が代表者の口座に振り込まれ、そこから分配された場合でも、税務上の申告義務は各個人に発生します。

申告漏れは、後に延滞税や過少申告加算税といったペナルティの対象となるため、注意が必要です。

売却後の税金は持分割合に応じて課税される

譲渡所得税・住民税は、各共有者がそれぞれの持分(の利益)に対して課税されます。

たとえば、共有者A(持分1/2)と共有者B(持分1/2)がいて、売却益が1,000万円だったとします。この場合、共有者Aが500万円、共有者Bが500万円の利益に対して、それぞれが納税しなければなりません。

仮に売却代金の全額を共有者Aが受け取ったとしても、共有者Bの納税義務はなくならない点に注意が必要です。お金の分配方法と税務上の課税関係は、分けて考える必要があります。

3,000万円特別控除の適用になるかを確認する

マイホーム(居住用財産)を売却した際には、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる「3,000万円特別控除」という特例があります。

共有名義のマンションの場合、共有者ごとに以下のような適用要件を判断します。

3,000万円特別控除の適用条件
  • その家屋が自己の居住の用に供していた家屋であること(その敷地も含む)
  • 譲渡の時において居住していない場合でも、転居後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡したものであること
  • 譲渡先が配偶者、直系血族(親子・孫など)または同族会社などの特別の関係がある者でないこと
  • 居住用財産の買換え特例や交換の特例など、他の特例の適用を受けていないこと
  • 確定申告書に必要書類を添付して提出すること

※上記のほか、適用除外となる場合があります(一時的な目的での入居、特例適用のみを目的とした入居、別荘など)。詳細な要件や適用除外については、国税庁の公式サイトをご確認ください。

出典:国税庁|No.3302 マイホームを売ったときの特例

たとえば、兄(居住している)と弟(居住していない)の共有名義の場合、兄は控除を使えますが、弟は使えません。一方、共有者全員が居住要件を満たしていれば、それぞれが3,000万円の控除枠を使えます。

弁護士 佐々木一夫

適用要件は複雑なため、必ず税理士や税務署に確認しましょう。

住宅ローンが残っている場合は抵当権の抹消が必要

売却するマンションに住宅ローンが残っている場合、そのローンを完済して「抵当権」を抹消しなければ、買主に所有権を移転できません。

通常、売却代金を受け取る決済(引渡し)と同時に金融機関に残債を一括返済し、司法書士が抵当権抹消登記を行います。

なお、売却価格がローン残債を下回る(オーバーローン)場合、差額を自己資金で補填しなければ売却(抵当権抹消)ができません。

また、共有者それぞれがローンを組んでいる場合(ペアローンなど)は、全員が完済手続きを行う必要があります。

弁護士 佐々木一夫

売却活動を始める前に、ローン残高と想定売却価格を比較し、資金計画を立てておくことが不可欠です。

共有名義のマンション売却に関するよくある質問

認知症の共有者がいる場合、どうすれば売却できる?

認知症の共有者がいる場合は、「成年後見制度」を利用する必要があります。認知症などで意思能力が不十分と判断される方は、有効な法律行為(売買契約など)を行えないためです。

この場合、家庭裁判所に申し立てて、本人を法的にサポートする「成年後見人」を選任してもらいましょう。選任された後見人が、本人の代わりに契約を行います。

また、居住用の不動産を売却する場合は、さらに家庭裁判所の許可(居住用不動産処分許可)が必要です(民法第859条の3)。手続きが複雑になるため、一度弁護士に相談しましょう。

売却代金の振込口座は代表者一人でも問題ない?

実務上、売買代金の振込先は、共有者のうちの一人(代表者)の口座を指定することが一般的です。ただし、その後の分配には注意が必要です。

代表者が全額を受け取ってから他の共有者に持分割合を超えて金銭を分配すると、税務署から「贈与」とみなされ、高額な贈与税が課せられるリスクがあります。

司法書士に依頼し、売買代金を各共有者の口座に持分割合で直接振り込むよう、金融機関に手配してもらう(決済の場で清算書を作成する)ことが大切です。

代表者口座で受け取る場合は、速やかに持分割合通りに分配し、その送金記録(振込履歴)を必ず残しておくようにしましょう。

売却に協力しない共有者に維持費(固定資産税など)を請求できる?

法律上は請求可能ですが、売却問題とは分けて考えましょう。

共有者は、その持分割合に応じて、マンションの管理費や修繕積立金、固定資産税などの維持費を負担する義務があります(民法第253条第1項)。

もし代表者が立て替えて支払っている場合、他の共有者に対して、持分相当額の償還を請求することが可能です。また、立替えた共有者が他の共有者に支払いを求めて催告し、それから1年以内に支払いがない場合には、立替えた共有者は、相当の償金を支払うことで共有者の持分を取得できます(民法第253条2項)。

しかし、この維持費の請求と売却の話し合いを同時に行うと、相手が感情的になり、売却交渉がさらにこじれる可能性もあるでしょう。

まずは売却を成立させることを最優先とし、維持費の清算は売却代金を分配する際に相殺するなど、柔軟な交渉をすることをおすすめします。

まとめ|共有名義のマンション売却は、専門家への早期相談が大切

共有名義のマンション売却は、法律・税務・登記など、多くの専門知識が複雑に絡み合う手続きです。売却を成功させるためには、共有者全員の合意をいかにスムーズに取り付けるかにかかっています。

しかし、当事者同士の話し合いは、感情的な対立や過去の経緯が障害となり、難航することも珍しくありません。無理に交渉を進めようとすると関係が悪化し、訴訟などの時間も費用もかかる事態に発展する可能性もあります。

弁護士であれば、法的な観点から適切な売却方法をアドバイスすることはもちろん、代理人として他の共有者との交渉を行うことが可能です。早期にご相談することで、トラブルを未然に防ぎ、円満かつ迅速な解決を実現できます。

弁護士 佐々木一夫

まずは一度、専門家に現状を相談することから始めてみましょう。

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この記事がみなさまの参考になれば幸いです
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この記事の監修者

弁護士 佐々木 一夫 KAZUO SASAKI

弁護士法人アクロピース 代表弁護士
東京弁護士会所属
明治大学法学部 卒業
明治大学法科大学院 修了

当事務所は家賃滞納や立ち退き交渉といった不動産トラブルの解決に注力しております。豊富な経験に基づき、ご依頼者様の正当な権利を迅速に守るサポートを提供します。初回のご相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。

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