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遺留分侵害額請求とは、被相続人が財産を特定の人物に贈与または遺贈するなどして侵害された「遺留分(一定の相続人に対して最低限保障される相続権)」を取り戻すために行う法的手続きのことです。
遺留分権利者は、遺留分の侵害が分かった時点で速やかに権利を主張することが重要なため、「弁護士を探している時間がない」「自分で遺留分侵害請求手続きを進めたい」とお考えの方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、遺留分侵害額請求は自分でできるのか、手続きの流れ・進め方、注意点についてわかりやすく解説します。
遺留分侵害額請求の進め方がよく分からずにお困りの方は、ぜひ弁護士法人アクロピースにご相談ください。
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結論から言うと、遺留分侵害額請求は自分でもできる手続きです。
必ず弁護士に依頼しなければならないわけではありません。
しかし、法律的な知識をお持ちでない場合、すべて自分で手続きを行うとなると、現実的には難しいのではないでしょうか。
遺留分はかなり複雑な制度であり、侵害額の計算や相手方との交渉も必要なため、弁護士に依頼するほうが負担は少ないかもしれません。
いずれの場合も、遺留分に関する基本的な知識、遺留分侵害額請求の流れ、手続き方法などは、自分でも理解しておくことをおすすめします。
身につけた知識は、自分で遺留分侵害額請求をする場合はもちろん、弁護士に依頼する際にもきっと役立ちます。
遺留分侵害額請求手続きの流れについて知る前に、まずは「遺留分」について正しく理解しておきましょう。
遺留分とは「一定の相続人(配偶者・子ども・父母)に対して最低限保障された遺産の取り分」を指します。
被相続人が生前に、特定の人物にだけ財産を贈与していたり、遺言書によって相続財産をまったく受け取ることができなかったという場合、遺留分を侵害されている可能性があります。
ここでは、遺留分の具体的な範囲や計算方法について説明します。
遺留分は、「兄弟姉妹以外の相続人」に認められた権利です。(民法1042条1項)
具体的には、以下の①〜④が遺留分権利者の範囲です。
特に、①配偶者と②子どもについては、常に遺留分を取得する権利が認められます。
基礎財産額に占める遺留分額の割合は、相続人の構成によって以下のように定められています。
直系尊属のみが相続人である場合 | 3分の1 |
それ以外の場合 | 2分の1 |
それぞれの相続人が相続する遺留分の割合を、「個別的遺留分」といいます。
個別的遺留分は、総体的遺留分(相続財産全体に占める遺留分の割合)に、各権利者の法定相続割合を乗じて計算します。
遺留分を算定するために必要な基礎財産額は、以下の方法で計算されます。(民法1043条)
ただし、基礎財産額に加算できる生前贈与された財産は、相続開始1年以内に行われたものに限られます。(民法1044条)
生前贈与した相手が法定相続人の一人であった場合、相続開始10年以内に行われた贈与(特別受益)も基礎財産額に加算されます。
遺留分の計算方法は、非常に複雑です。より詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
遺留分侵害額請求とは、遺留分を侵害された相続人が、贈与または遺贈を受けた人に対して、侵害された遺留分に相当する金銭の支払を請求する権利のことです。
例えば、以下のようなケースが遺留分侵害に該当します。
平成30年の民法改正前に定められていた遺留分減殺請求権とは、遺留分を侵害された相続人が、贈与・遺贈を受けた人に対して、侵害された遺留分を限度として、贈与・遺贈された財産の返還を請求する権利のことです。
遺留分侵害額請求権が「金銭の支払いを請求する権利」であるのに対して、遺留分減殺請求権は「財産の返還を請求する権利」である点に、大きな違いがあります。
遺留分侵害額請求手続きの具体的な流れ、進め方は、以下の通りです。
まずは、自分が遺留分の権利を持つ相続人であることを確認しましょう。
遺留分の権利が常に認められるのは、配偶者と子どものみです。
配偶者がいない、子どもが先に死亡しているなど、孫や父母、祖父母などの直系尊属が相続人や代襲相続人となる場合にも、遺留分が認められます。
次に、相続人の範囲と人数を確定させましょう。
相続人を確定するには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要です。
場合によっては、複数の自治体に請求しなければならない可能性もあります。
贈与または遺贈を受けた人に対して、遺留分侵害額を請求する意思表示を記載した請求書を送りましょう。
遺留分侵害額請求書は、内容証明で送るのが一般的です。
内容証明とは、以下の3つが謄本によって証明される郵便を指します。
内容証明で送ることで、たとえ相手が受け取りを拒否しても、「遺留分侵害額請求を行った事実」が証明されます。
遺留分侵害額請求には、後で述べるとおり期間の制限がありますので、時効になる以前に遺留分侵害額請求を行った事実を証明しておくことはとても重要です。
また、遺産として具体的にどの程度の財産があるのか把握していない場合は、遺産に関する資料を開示してほしい旨も併せて記載するのがよいでしょう。
文章はシンプルなもので構いませんが、遺留分侵害額請求権を行使する旨については、明確に記載してください。
遺留分侵害額を請求するにあたっては、相続の対象となる財産がどれだけあるのかも確定しなければいけません。
まずは、遺産に関する資料を持っている人に、資料をすべて開示してもらうのがベストですが、「他の相続人に財産を隠されてしまうかもしれない」などの懸念がある場合は、「遺産確定の訴え」を行うことも可能です。
遺産確定の訴えとは、被相続人の財産のうちのどれが相続財産に含まれるものであるかを判断し、相続財産を確定させるための裁判のことです。
遺産のなかに、他人名義の財産や所有権について争いがある財産が含まれている場合も、遺産確認の訴えによって、相続財産であるかどうかを確定させましょう。
相続財産が確定したら、そのうちの遺留分侵害額がいくらになるのかを計算します。
そのうえで、算定した具体的な遺留分侵害額を改めて請求します。
遺留分侵害額の計算式は、以下の通りです。(民法第1416条第2項)
遺留分侵害額請求に応じてくれない、話し合いでも解決しないという場合は、次のステップである「遺留分侵害額の請求調停」に進むことを検討しましょう。
遺留分侵害額の請求調停は、家庭裁判所で行われます。
調停委員が当事者間の話し合いをサポートしながら、以下のような流れで進むのが一般的です。
遺留分侵害額の請求調停の申立先は、相手方の住所地の家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所です。
申立てには、以下の費用・書類が必要です。
参考:裁判所HP「遺留分侵害額の請求調停」
調停でも解決しない場合は、最終手段として、遺留分侵害額請求訴訟を起こすことも可能です。
遺留分侵害額請求訴訟は、遺留分侵害額が140万円以内であれば簡易裁判所、140万円以上の場合は地方裁判所で提起されます。
ただし、訴訟によって遺留分の請求を認めてもらうためには、証拠が必要です。
法律的に整理された主張書面の提出も求められるため、法律の知識を持たない方にとっては非常に難しいものとなるでしょう。
判決によって遺留分の請求が認められ、相手側に支払いが命じられる場合もありますが、訴訟が進むなかで、裁判官が和解を提示することも珍しくありません。
和解で合意が得られれば、その時点で訴訟が終了します。
合意できなければ判決となり、判決に不服があれば控訴も可能です。
判決によって遺留分の請求が認められたのにも関わらず、相手が支払いに応じない場合には、強制執行の申立て手続きを行えます。
続いては、遺留分侵害額請求を自分で行う場合の注意点について説明します。
遺留分侵害額を請求できる期限については、民法に以下の定めがあります。(民法1048条)
遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。
遺留分侵害額請求権には、時効があります。
そのため、手続きはできるだけ早く進めなければいけません。
また、遺留分侵害額請求書を普通郵便で送ってしまうと、無視や放置をされて、「時効成立後に届いた」などと嘘をつかれる可能性もあります。
このようなリスクを回避するためにも、遺留分侵害額請求書は必ず内容証明で送るようにしてください。
遺留分侵害額請求の支払いについて合意を得られた場合も、安心してはいけません。
口約束ではなく合意書を作成し、公正証書にすることが重要です。
口約束にも法律的な効力は発生しますが、約束そのものを証明することが難しくなります。
遺留分侵害額請求手続きは、金銭を受け取って終わりではありません。
受け取った金銭には、相続税がかかります。
すでに相続税の申告・納税を済ませている場合も、遺留分については別で申告・納税が必要になるため、注意が必要です。
遺留分侵害額請求の手続きは、正しい知識を身につけておけば、自分で行うことも可能です。
しかし、一連の手続きは非常に煩雑で、場合によっては調停や裁判を起こす必要もでてくるかもしれません。
遺留分の権利を正しく主張し、早期解決を目指すなら、やはり法律のプロである弁護士の力を借りるのがおすすめです。
ここからは、遺留分侵害額請求を弁護士に依頼するメリットについて解説します。
遺留分侵害額請求を自分で行う場合、当然ながら、必要な資料の収集、遺留分侵害額の計算、合意書などの書類の作成も、すべて自分で行わなければなりません。
その結果、必要書類が不足していたり、計算ミスがあったりなど、手続きがスムーズに進まないことも多いです。
弁護士なら、遺留分侵害額請求手続きにも慣れているため、そのような心配はありません。
弁護士は、法律の専門家であると同時に、交渉のプロでもあります。
そのため、相手方との交渉もすべて任せて問題ありません。
自分で交渉する必要がないため、感情的になったり、ストレスを感じることもなく、精神的な負担も軽減できるでしょう。
相手方が遺留分侵害額請求に応じない場合は、調停や訴訟が必要になります。
調停や訴訟においては、やはり法律的な知識が必要です。
最初から弁護士に依頼しておけば、状況を理解したうえで調停や訴訟に臨めます。
スムーズかつ有利に進められる可能性が高いと言えるでしょう。
生前贈与や遺贈によって、本来相続するべき財産を相続できなかった場合には、遺留分侵害額請求が可能です。
遺留分侵害額請求は、自分で手続きを行うこともできますが、弁護士に相談したほうがスムーズです。
遺留分侵害額請求の手続きについては、ぜひ弁護士法人アクロピースにご相談ください。
遺留分侵害額請求をしたいとお考えの方は、ぜひ一度弁護士法人アクロピースにご相談ください。
法律の専門家の立場から、遺留分侵害額請求についてのアドバイスも可能です。
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弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
私のモットーは「誰が何と言おうとあなたの味方」です。事務所の理念は「最高の法務知識」のもとでみなさまをサポートすることです。みなさまが納得できる結果を勝ち取るため、最後まで徹底してサポートしますので、相続問題にお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。