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父親が亡くなったときに、急に腹違いの兄弟が出現し、相続で争いになることがあります。
父親の相続をめぐって、下記のような心配や不安を感じる方もいるでしょう。
腹違いの兄弟は法定相続人です。
相続放棄しなければ遺産分割協議に参加することになります。
腹違いの兄弟がいる場合の相続は、相続人の範囲や順位、相続分がわかりにくいケースもあるため注意が必要です。
腹違いの兄弟がいる場合の相続について、相続人の範囲や相続割合、トラブルへの対処法などをわかりやすく解説します。
腹違いの兄弟がいて相続に関する不安がある方は、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士法人アクロピースでは、初回相談を60分間無料で行っております。
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腹違いの兄弟とは、父親は同じであるが母親が異なる兄弟です。
腹違いの兄弟の典型的な例は、次の2つです。
1のケースは、父親と婚姻関係にあった妻との間に生まれた子(嫡出子)です。
父親が前妻と死別又は離婚した場合に、再婚や再々婚したケースなどが該当します。
2のケースは、父親と婚姻関係がない女性との間に生まれた子(いわゆる婚外子、法律的には非嫡出子)を、父親が認知した場合です(民法779条)。
腹違いの兄弟は、母親は同じで父親が異なる兄弟を異父兄弟というのに対し、異母兄弟ともいわれます。
腹違いの兄弟の相続権は、次のようになります。
腹違いの兄弟は、原則として、相続権がある法定相続人です。
民法は、亡くなった方(被相続人)との関係によって、相続人の範囲(法定相続人)と順位を次のとおり定めています。
順位 | 相続人(被相続人との関係) | 根拠条文 |
---|---|---|
1 | 配偶者と子(代襲相続する孫) | 民法887条1項・2項 |
2 | 配偶者と直系尊属(父母・祖父母等) | 民法889条1項1号 |
3 | 配偶者と兄弟姉妹 | 民法889条1項2号 |
被相続人の配偶者は、常に相続人になります(民法890条)。
相続順位1位は、被相続人の子で、被相続人の兄弟姉妹の相続順位は3位です。
出典:国税庁ホームペジ(No.4132 相続人の範囲と法定相続分)
出典:eーGovポータル|民法
相続人の範囲と順位については、以下の記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
関連記事:兄弟の一人だけが相続することはできるの?注意点を解説
父親が死去した場合、腹違いの兄弟は父親の実子であることに変わりはなく、相続権があります(民法第887条)。
ちなみに「被相続人の子」は、実子だけでなく、親と養子縁組した子(血のつながりのない兄弟)も戸籍上「子」であり(民法第809条)、相続権があります。
前妻の子の相続権については、以下の記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
関連記事:前妻の子にも相続権はある?よくあるトラブル・注意点を解説
父親によって認知された子(腹違いの兄弟)は、父親が死去した場合に法定相続人になります(民法784条)。
認知の方法は、次の4つがあります。
認知の訴えは、父又は母の死亡の日から3年以内にしなければなりません(民法787条ただし書き)。
次の場合、腹違いの兄弟に相続権はありません。
被相続人によって、腹違いの兄弟が相続人になるか否かが変わるため、家族関係をきちんと把握しておかなければなりません。
腹違いの兄弟の相続順位と相続割合は、基本、実子と同じです。
民法が定める相続割合(法定相続分)は、次表のとおりです(民法900条)。
相続人 | 相続割合 | 根拠条文 | |
---|---|---|---|
1 | 配偶者と子 | 配偶者1/2、子1/2 | 民法900条1号 |
2 | 配偶者と直系尊属(父母・祖父母等) | 配偶者2/3、直系尊属1/3 | 民法900条2号 |
3 | 配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4 | 民法900条3号 |
4 | 子・直系尊属・兄弟姉妹がそれぞれ数人いる | それぞれ均等に配分 | 民法900条4号 |
出典:国税庁ホームページ(No.4132 相続人の範囲と法定相続分)
腹違いの兄弟の相続順位と相続割合について、次の2つの場合に分けて説明します。
父親が死去した場合、腹違いの兄弟は「被相続人の子」として第1順位の相続人になります。
相続割合は、腹違いか否かに関わらず、子として皆同じです。
例として「父母と兄弟2人、腹違いの兄弟がいる」場合の、相続割合を示します。
現家族 | 腹違いの兄弟等 | 相続割合 |
---|---|---|
父母と兄弟2人 父が死去 | 腹違いの兄弟1人(前妻の子・認知された子) | 母1/2、各兄弟(腹違い含む)1/2×1/3 (前妻は相続権なし) |
父母と兄弟2人 父が死去 | 認知されていない子1人 | 母1/2、各兄弟1/2×1/2 (認知されていない子は相続権なし) |
父と兄弟2人 (母は既に死去) 父が死去 | 腹違いの兄弟1人(前妻の子・認知された子) | 各兄弟(腹違い含む)1/3 (認知されていない子は相続権なし) |
腹違いの兄弟が死去した場合、腹違いの兄弟に、子も親(直系尊属)もいないときは、腹違いの兄弟が相続人になります。
相続割合は、半血(父母の片方が同じ)は全血(父母双方が同じ)の1/2です(民法900条4号ただし書き)。
腹違いの兄弟が死去した場合の相続人と相続割合を、家族構成別に例示します。
腹違いの兄弟の家族 | 相続人 | 相続割合 |
---|---|---|
子がいる | 腹違いの兄弟の子 (配偶者がいれば配偶者も) | 子が等分 (配偶者1/2、子1/2) |
子・孫はいない、親は健在 | 腹違いの兄弟の親 (配偶者がいれば配偶者も) | 親が等分 (配偶者2/3、親1/3) |
配偶者、子・孫、親はいない 全血の兄弟1人・半血の兄弟2人 | 腹違いの兄弟(全血・半血) | 腹違いの兄弟 半血各1/4、全血1/2 |
腹違いの兄弟の相続では、次のようなトラブルが起こりがちです。
腹違いの兄弟と対立し続けると、遺産分割がまとまらず相続は決着しません。
冷静に対処する必要があります。
腹違いの兄弟とは接触が少なく、連絡先がわからないことがあります。
連絡先がわからないと相続手続きを進められません。
遺産分割協議は全員参加が原則のため、連絡先を何とか突き止め話し合う必要があります。
次のような方法で、腹違いの兄弟の所在を確認しましょう。
できれば、父親が生存している間に、腹違いの兄弟の連絡先を確認しておくとよいでしょう。
相続時に戸籍を確認し、初めて異母兄弟がいることを知り、驚くこともよくある例です。
相続は、期限がある届出等もあるため、冷静かつ迅速に対応する必要があります。
遺産を相続する際に、相続割合について争いが生じる恐れがあります。
「腹違いの兄弟は親の世話をしておらず同額はおかしい」との主張と、「これまで恩恵を受けていないから遺産は多くもらう」との主張が対立しがちです。
それぞれの言い分があっても、冷静に話し合うことが大事です。
できれば、父親にあらかじめ遺言書を作ってもらい「どの財産を」「誰に」「どれだけ渡す」か決めてもらいましょう。
認知されていない子が、父親の死後に認知の訴えを提起する場合があります(民法787条)。
認知の訴えが認められれば、腹違いの兄弟は、子として相続人になります。
遺産分割協議後に、新たに腹違いの兄弟の存在が発覚すると、腹違いの兄弟が加わっていない遺産分割協議はやり直さなければなりません。
相続人に被相続人からの遺贈や贈与があった場合は、特別受益として持戻しを主張される可能性もあるでしょう(民法903条)。
死後認知の場合、嫡出子と非嫡出子の対立が深刻で難航することも多いため、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
腹違いの兄弟がいる場合の相続でもめないために、次のような点に注意しましょう。
誰が相続人かをしっかり把握することが重要です。
親の戸籍謄本(除籍謄本、改正原戸籍謄本)で、腹違いの兄弟(前妻の子・認知された子)がいないか確認しておきましょう。
親が生まれてから死亡するまでの全ての戸籍を確認する必要があります。
戸籍は相続人が取り寄せることもできますが、できれば親が存命中に確認しておくようにしましょう。
腹違いの兄弟にきちんと連絡することが必須です。
連絡するときは、腹違いの兄弟と付き合いがない場合は、相手が警戒しないよう、電話より丁寧な手紙がおすすめです。
連絡を取らず放置していると、遺産分割協議が進みません。
相続税の申告など必要な手続きが遅れないよう、早めに連絡しましょう。
腹違いの兄弟は、父親の相続人として遺産相続の権利があります。
遺産分割協議(民法907条)は全員の合意が必要なため、冷静に話し合いましょう。
遺産分割協議がまとまらなければ、遺産分割調停や審判などに移行して紛争が長引いてしまいます。
互いに譲歩して話し合いをまとめるようにしましょう。
腹違いの兄弟が被相続人と関わりがほとんどなかった場合、相続放棄(民法939条)を受け入れてもらえる可能性もあります。
状況によっては、放棄の検討依頼もあり得る選択肢です。
ただし、一方的に放棄を迫るような対応をしてはいけません。
相手に不快感を持たれないよう十分な配慮が必要です。
腹違いの兄弟(異母兄弟)に遺産を相続させたくないと思う場合もあるでしょう。
方法としては、次の2つが考えられます。
詳しく説明します。
腹違いの兄弟(異母兄弟)に相続させない1つ目の方法は、遺言書を作り、遺産の相続方法を指定することです。
遺言者は、包括又は特定の名義で財産の全部又は一部を処分できます(民法964条第1項)。
相続人全員が別の合意をしなければ、原則、遺言書のとおりに遺産を分けられます。
嫡出子の相続分を増やし、非嫡出子や他の腹違いの兄弟の取得分を減らすことも可能です。
ただし、遺言の有効性、腹違いの兄弟の遺留分には注意が必要です。
遺言当時に遺言能力がなかった場合は、遺言書が無効になります(民法963条)。
形式に不備がある遺言、死期が近い父親が書いた遺言は、有効性を争われる可能性があります(民法960条、民法968条参照)。
兄弟姉妹以外の相続人の遺産取得額が遺留分を下回った場合、他の相続人などに対する遺留分侵害額請求権が発生します。
父親が亡くなった場合、相続人となる腹違いの兄弟には遺留分(1/2)が保障されています(民法1042条)。
遺言があっても遺留分を侵害する場合は、侵害額相当額を支払わなければなりません(民法1046条)。
腹違いの兄弟が亡くなって兄弟姉妹が相続する場合は、兄弟姉妹に遺留分はありません。
生前贈与すれば、ほとんどの財産を腹違いの兄弟以外に渡すことが可能です。
生前贈与の方法は、次のような方法があります。
ただし、贈与が遺産の前渡しとみなされ特別受益となる場合や、遺留分を侵害する可能性もあるので注意が必要です。
死亡した時に財産を無償で渡すと生前に決めておく死因贈与も可能です。
不動産を死因贈与すれば、土地や建物を確実に受贈者へ渡せます。
ただし、死因贈与した財産は相続税の課税対象になります。
生前贈与同様、遺留分侵害にも注意が必要です。
贈与の種類や贈与契約書の書き方については、以下の記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
関連記事:贈与契約書の書き方!なぜ必要?作成手順と注意点を解説【ケース別雛形付】
出典:国税庁ホームページ(令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし)
相続で腹違いの兄弟(異母兄弟)ともめてしまい、まとまりそうもないときは、次の対応を検討しましょう。
家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てると、調停の場が設けられ、調停委員が間に入って話し合いを進めてくれます。
中立的な調停委員が入ることで、お互いに冷静に話しやすくなるでしょう。
調停委員が、解決案を示してくれることもあります。
参考:裁判所|遺産分割調停
腹違いの兄弟との話し合いが難しいときは、相続問題に詳しい弁護士に相談するのもよい方法です。
弁護士に相談すれば、次のようなメリットがあります。
腹違いの兄弟(異母兄弟)がいる場合の相続について、まとめると次のようになります。
腹違いの兄弟と、トラブルのため対立し続けると、遺産分割がまとまらず相続は決着しません。
冷静に対処し迅速に解決する必要があります。
どう対応すべきか判断が難しいとき、悩むときは、法律の専門家である弁護士法人アクロピースにご相談ください。
弁護士法人アクロピースでは60分間の無料相談の実施しています。
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弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
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