【配偶者なし 子なし 親なし 兄弟あり】の相続はどうするの?相続させたくない場合の対処法も解説!

配偶者なし・子なし・親なし・兄弟ありの場合、兄弟に相続権があります。兄弟に相続させたいケース、させたくないケースに応じて、必要な対策を取ることが大切です。

本記事では、配偶者なし・子なし・親なし・兄弟ありの場合の相続における相続権や、相続させたくない場合の対策などについて詳しく解説します。

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目次

配偶者なし・子なし・親なし・兄弟ありの場合は兄弟が相続する

相続


被相続人が配偶者なし・子なし・親なし・兄弟ありの場合は、兄弟(姉妹)が遺産を相続します民法889条1項2号)。

配偶者はどのパターンでも相続人となり(民法890条)、それ以外の相続人については以下のように順位が定められています。

順位相続人
第1順位子(または孫やひ孫)
第2順位直系尊属(親や祖父母)
第3順位兄弟姉妹(または甥や姪)

上の順位の人がいなければ下の順位の人が相続する仕組みです。

たとえば、第1順位の子(または孫やひ孫)がいる場合は、親や祖父母、兄弟姉妹は相続人にはなりません。

配偶者あり・子なし・親なしであれば兄弟も相続できる

お金


配偶者がいる場合に、子なし・親なしであれば兄弟も相続できます。

相続分は配偶者が4分の3で、兄弟が4分の1です民法900条3号)。

ただし、被相続人の自宅に配偶者が住み続けるためには、配偶者が自宅を相続できるように遺言書で指定や死因贈与をしておくことが大切です。

その結果、配偶者以外の相続人の遺留分(法律で最低限相続することが認められた相続分)を侵害してしまい、遺留分侵害額請求を受けることで自宅を相続できなくなる可能性を懸念されるかもしれませんが、そもそも兄弟には遺留分がありません民法1042条1項)。

そのため、自宅を配偶者が相続するように遺言書で指定した場合等であっても、遺留分の支払いもする必要はありません。

兄弟の遺留分について詳しくは後述します。

兄弟の相続分

計算


兄弟の相続分は、兄弟の人数や半血兄弟の有無などで異なります。兄弟の相続分について、詳しく見ていきましょう。

兄弟が1人の場合

兄弟が1人の場合は、すべてを1人で相続します。

ただし、配偶者あり・子なし・親なしの場合の相続分は、配偶者が4分の3で、兄弟が4分の1です。

兄弟が複数人いる場合

兄弟が複数人いる場合は、相続分を人数で均等に割って相続します。

たとえば、配偶者なし・子なし・親なしで兄弟が2人の場合の相続分は、それぞれ2分の1です。

同じように、兄弟が3人の場合は、3分の1ずつ相続します。

配偶者ありの場合の相続分は、配偶者が4分の3で、兄弟は4分の1です。

この場合も、兄弟の人数で均等に割るため、兄弟2人は8分の1ずつ、兄弟3人で12分の1ずつです。

兄弟の中に半血兄弟がいる場合

半血兄弟とは、父または母のいずれかが同じの兄弟のことです。

半血兄弟の相続分は、父と母のいずれも同じ兄弟の相続分の2分の1です(民法900条4号ただし書き)。

たとえば、後妻の子が亡くなった場合、先妻の子は後妻の兄弟の2分の1のみ相続できます。

配偶者なし・子なし・親なしで兄弟が亡くなった場合の遺産相続

繋ぐ


配偶者なし・子なし・親なしで兄弟が亡くなった場合、甥・姪の有無や特別縁故者の有無によって、誰が遺産を相続するかが異なります。

それぞれのパターン別に、詳しく見ていきましょう。

甥・姪がいる場合は代襲相続

甥・姪がいる場合は、代襲相続が発生します。

代襲相続とは、相続人が亡くなった際に、その人物の子が代わりに相続人になることです。

たとえば、被相続人Aが亡くなり、兄弟が相続することになったものの兄弟が亡くなっている場合は、その兄弟の子である甥・姪が相続人になります。

甥・姪が複数いる場合は、兄弟が相続するはずだった相続分を均等に割って相続します(民法901条)。

ただし、甥・姪も亡くなっている場合は、それ以上の代襲相続は発生しないため(民法889条2項887条2項参照)、相続人がいなくなります。

代襲相続がどこまで続くのかや、養子の場合にも適用されるのかなどについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

関連記事:代襲相続はどこまで発生する?甥・姪が養子でも対象になるって本当?

特別縁故者が財産分与の申し立てをできる

配偶者・子・親・兄弟・甥姪などもいない場合は、特別縁故者が家庭裁判所へ財産分与の申し立てをし、認められれば清算後に相続財産の全部又は一部を取得できます。

特別縁故者とは、被相続人と特別の縁故があった人物のことで、以下のいずれかに該当する人物を指します(民法958条の2第1項)。

なお、特別縁故者として相続財産の分与を受けようとする者は、法人でも良いとされております。

特別縁故者の要件
被相続人と生計を同じくしていた者・内縁の配偶者
・事実上の養子・養親
被相続人の療養看護を行っていた人無償で被相続人の療養看護をしていた近所の人など
被相続人と特別な縁故があった人・生活や事業の資金を援助をしていた人
・事実上、遺産を管理してきた人

特別縁故者が財産分与の申し立ては、最後の相続人捜索期間民法958条満了後3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。

特別縁故者であることや戸籍謄本や住民票などの資料が必要です。

また、財産分与の金額は、被相続人との関係や遺産総額などを総合的に見て家庭裁判所が判断します。

裁判所が相当でないと判断した場合には、分与を認めないことも可能です。

国庫に帰属する

相続人がいない場合は、利害関係任又は検察官の請求により、家庭裁判所が相続財産清算人を選任します(民法952条1項)。

相続財産清算人は、被相続人の遺産から債権者への債務の返済を行うことで精算し、残額を国庫に帰属させます民法959条)。

つまり、残った財産は国のものとなります。

家庭裁判所は、相続財産清算人の選任を知らせることと、相続人がいないか確認することを目的に公告を6ヶ月以上行います。

公告の期間中に相続人が現れない場合は、相続人がいないことが確定します。

また、相続財産清算人は、2ヶ月以上かつ家庭裁判所が行った公告の期間の範囲内で債権者・受遺者を確認するために公告を行います。

特別縁故者や債権者などが現れた場合は、相続財産清算人が返済や財産分与の手続きを行い、残額を国庫に帰属させれば手続きは終了です。

遺言書で指定されている場合は他の親族が存命でも兄弟が相続できる

遺言


遺言書で兄弟に遺産を相続する旨を指定することで、子や親が存命でも兄弟が遺産を相続できます。

ただし、兄弟に多額の遺産を相続させることは子や親の遺留分を侵害する問題や親族からの印象などに影響を与える可能性があるため、慎重に検討することが大切です。

遺言書で兄弟に遺産を相続させることを指定する場合のポイントについて、詳しく見ていきましょう。

遺言書で指定されていても全額相続は難しい

遺言書で、兄弟に遺産を全額相続させる旨を定めていたとしても、実際に全額を相続させることは難しいでしょう。

これは、遺留分と呼ばれる最低限保証される相続財産の割合が法律で定められているためです(民法1042条1項)。

遺留分は被相続人の配偶者や子、両親などに与えられており、兄弟にはありません。

兄弟が遺留分を侵害した場合、侵害された相続人が遺留分侵害額請求をすることで最低限保証された割合分の金銭を確保できます。

遺留分の割合は、相続人が直系尊属(親や祖父母)のみの場合は遺産全体の3分の1、それ以外では2分の1です(民法1042条1項各号)。

たとえば、配偶者あり・子なし・親なし・兄弟ありで、兄弟に遺産を全額相続させる旨を遺言書に定めたとしても、配偶者は遺留分である42分の1を遺留分侵害額請求をすることで確保できます。

遺留分について詳しくは、下記の記事をご覧ください。

関連記事:遺留分とは何かをわかりやすく解説!

親族関係も考慮して判断した方がよい

遺言書において兄弟が全額相続する旨の意思表示がある場合でも、すべての相続人の合意のもとで遺産分割協議を行い、遺産の分け方や相続分などを決めることができます。

兄弟に遺産を相続させる旨を遺言書に記載する際は、他の相続人との関係性も考慮して判断することが大切です。

たとえば、子がいるにもかかわらず兄弟に遺産の大部分を相続させると、兄弟と子の関係が悪くなる可能性があります。

親族間で予期せぬトラブルになるおそれがあるため、それぞれの関係性によるものの兄弟への遺産相続については慎重な判断が必要です。

兄弟が相続する場合は2割加算が適用される

税金


兄弟や甥・姪が相続する場合は、相続税額に2割加算が適用されます(相続税法18条)。

加算額の計算式は下記のとおりです。

相続する人物の税額控除前の相続税額×0.2

たとえば、税額控除前の相続税額が500万円の場合は、100万円の加算によって600万円の相続税の納税が必要です。

兄弟に財産を相続させたくない場合の対策

握手


兄弟には遺留分がないため、下記の対策を実践することで兄弟に財産を1円も相続させずに済みます。

  • 生前贈与
  • 死因贈与
  • 遺言書で指定する

それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。

生前贈与

生前贈与とは、被相続人が亡くなる前に財産を贈与することです民法549条)。

兄弟以外の人物に財産を贈与しておくと、兄弟が相続する財産を減らすことができます。ただし、相続人に対する生前贈与は、相続財産に持ち戻しされます。

遺産分割においては、婚姻、養子縁組、生計の資本として相続人が受けた贈与について、時期に関係なく相続財産への持ち戻しの対象になります(民法903条1項)。

これに対して、遺留分侵害額請求においては、相続人以外に対する贈与は、原則として被相続人が亡くなった日(相続開始日)から1年前までに行われた贈与がもち戻しの対象(民法1044条1項)です。

もっとも、相続人に対する贈与では、原則として相続開始日から10年前までに行われた贈与(婚姻、養子縁組、生計の資本として受けた贈与の価額のみ)がもち戻しの対象(民法1044条3項)です。

相続税の計算においては、生前贈与の3~7年前までの贈与が相続税の計算上遺産の額にもち戻されます。

これを「生前贈与加算(持ち戻し)」といい、2023年度税制改正で、生前贈与加算の対象期間が3年から7年に延長されました。

ただし、相続開始前の4~7年目までに受けた贈与においては、100万円の控除が可能です。

死因贈与

死因贈与は、自身が亡くなった際に財産を渡すことを契約する行為です民法554条)。

財産を渡す人を贈与者、財産を受け取る人を受贈者といい、生前に死因贈与の契約を交わしておく必要があります。

死因贈与によって相続人に贈与した場合は特別受益となり、持ち戻しが必要となりますが、相続人以外への死因贈与は持ち戻しの対象外です。

また、死因贈与と似た言葉に「遺贈」があります。

死因贈与お互いの合意のもとで行われるのに対し、遺贈は財産を贈与する人物が一方的に遺言書で受贈者に伝えます。

そのため、受贈者は贈与者が亡くなって遺言書を確認した際に、自身に遺贈されることを初めて知るケースも少なくありません。

遺言書で指定する

遺言書で財産の相続先を兄弟以外の人物に指定することで、兄弟に相続させずに済みます。

遺言書の種類とメリット・デメリットは下記のとおりです。

遺言書の種類 説明 メリット デメリット
自筆証書遺言 自らが自筆で作成する遺言書 ・費用がかからない
・いつでも自由に作成できる
・書類に不備があれば法的に無効になる
・改ざんや偽造の恐れがある
・家庭裁判所で検認手続きが必要
公正証書遺言 公証役場にて作成する遺言書 ・公証人のもとで作成するため書類に不備が起こりにくい
・遺言書が公証役場に保管される
・検認手続きが不要
・費用がかかる
・証人の用意が必要
・証人がいない場合は追加で費用がかかる場合がある
秘密証書遺言 公証役場にて、公証人や証人に内容を明かさずに作成する遺言書 ・プライバシーが保護される ・費用がかかる
・紛失や盗難のリスクがある
・家庭裁判所での検認手続きが必要
・書類に不備が起きる可能性がある

遺言書の種類とそれぞれのメリット・デメリット、書き方、例文についてはこちらの記事をご覧ください。

関連記事:書き方を誤ると無効になる!?遺言書の種類と書き方を例文つきで解説

まとめ

兄弟


相続人のうち、兄弟だけがいる場合は、生前贈与や死因贈与、遺言書で指定するなどの対策を取らない限り、兄弟がすべての財産を相続します。

兄弟に相続させたいかどうかを踏まえて、適切に相続対策を行うことが大切です。

相続対策についてはアクロピースにご相談ください。

遺言書の作成や生前贈与、死因贈与、遺留分などについて、相続に強い弁護士が対応いたします。

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\相談件数300件以上の実績/

この記事がみなさまの参考になれば幸いです
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この記事を執筆した人

弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属

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