遺産相続の分配を決める方法とは?法定相続分や注意点をわかりやすく解説

遺産相続の分配を決める方法とは?法定相続分や注意点をわかりやすく解説

被相続人が預貯金や不動産を遺して亡くなったときは、相続人間で遺産相続の分配を決める必要があります。

分配を決める際は、割合の目安となる法定相続分や不動産の分配方法を理解しておくべきです。

この記事では、遺産の分配方法について話し合いを進めようとしている方に向けて、次の内容について詳しく解説しています。

相続人間での争いを起こすことなく相続財産の分配を進めるためにも、ぜひ最後までご覧ください。

遺産相続の分配方法について詳しく知りたい方は、相続問題に強い弁護士法人アクロピースにお気軽にご相談ください。

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目次

遺産相続の分配を決める方法

遺産相続

遺産の分配を決める方法には、遺言書遺産分割協議の2つの方法があります。

被相続人(亡くなった人)の遺言書があるときには、遺言書の内容に沿って遺産の分配を進めます。

それ以外のときには、相続人全員が参加しての遺産分割協議で遺産の分配を決めなくてはなりません。

ここでは、遺産の分配を決める2つの方法について詳しく解説します。

①遺言書

被相続人が遺言書を遺して亡くなったときは、遺言書の内容に沿って遺産を分配するのが原則です。

遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つの種類があります。

自筆証書遺言は家庭裁判所での検認手続きが必要となるため、相続人が勝手に開封してはいけません。

検認なしで開封すると、過料の制裁を受けたり、他の相続人から偽造を疑われて相続トラブルに発展したりする可能性があります。

ただし、法務局で遺言書保管制度が開始されており、保管制度を利用している場合には検認は不要となります。

公正証書遺言については、公証役場の検索システムで遺言書の有無を確認できます。

被相続人から「遺言書を作成した」と聞いていたのに遺言書が見つからないときは、検索システムを利用してみてください。

秘密証書遺言は、遺言の内容は秘密にして公証役場に遺言の存在のみを証明してもらう制度になります。

そのため、遺言書自体は、被相続人が保管することになります。

遺言書の種類や書き方については、次の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

関連記事:遺言書には種類がある?書き方の例文やそれぞれのメリット・デメリットも解説

②遺産分割協議

遺言書がないときには、遺産分割協議で遺産の分配を決めます。

遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分配について話し合う手続きです

遺産分割協議を成立させるには、相続人全員が協議の内容に同意しなければなりません。

遺産分割協議では、相続人全員が同意するならば遺産の分配を自由に決められます。

遺言書があるときでも、遺産分割協議で分配方法を決めなおすことも可能です。

法定相続分は、遺産の分配を決める目安となるものですが、絶対的なものではありません。

相続人のうち1人でも協議の内容に反対する場合には、遺産分割協議は成立しません。

協議がまとまらないときは、調停といった裁判所の手続を利用することになります。

裁判所の手続きでは、特別受益や寄与分などの証明がない限りは、法定相続分に近い割合での結果となるでしょう。

遺産分割協議については、次の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

関連記事:相続でもめた場合はどうする?遺産分割協議のスムーズな進め方も解説

法定相続分とは

法定相続分

法定相続分とは、民法に規定された相続人の相続割合のことです。

遺言書や遺産分割協議では、必ずしも法定相続分どおりに分配する必要はありません

しかし、遺産分割協議がもめたときや、裁判所での手続きとなったときには法定相続分が基準となります。

法定相続分は、誰が相続人となるかによって割合が決まります。

ここでは、誰が相続人となるか(法定相続人の順位)と、相続人ごとの法定相続分の割合に分けて解説します。

法定相続分については、次の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

関連記事:法定相続分とは?法定相続人の順位と計算方法や遺留分との違いを解説!

法定相続人の順位(誰が相続人となるか)

被相続人の配偶者は、常に相続人となります。

配偶者以外の親族のうち誰が法定相続人となるかは、法定相続人の順位によって決まります。

法定相続人の順位は、次のとおりです。

  • 第一順位 直系卑属(子どもや孫)
  • 第二順位 直系尊属(父母や祖父母)
  • 第三順位 兄弟姉妹

配偶者以外は、自分より順位が上の相続人がいるときには相続人とはなりません。

たとえば、被相続人に配偶者と母と兄がいる場合、母は兄より順位が上なので、相続人となるのは配偶者と母です。

配偶者と子どもがいる場合には、父母や兄弟姉妹は相続人とはなりません。

法定相続分の割合(どのように遺産を分配するか)

法定相続分の割合は、誰が相続人となるかによって異なります。相続人ごとの割合は、次のとおりです。

相続人の組み合わせ法定相続分の割合
配偶者と直系卑属配偶者 1/2 直系卑属 1/2
配偶者と直系尊属配偶者 2/3 直系尊属 1/3
配偶者と兄弟姉妹配偶者 3/4 兄弟姉妹 1/4

同一順位の相続人が複数いるときには、人数での均等割となります。

たとえば、被相続人に配偶者と2人の子どもがいる場合、配偶者の相続分は2分の1で変わりありませんが、子どもの相続分は4分の1(1/2×1/2)ずつです。

ただし、複数の兄弟がいる場合について、異母兄弟の相続分は他の兄弟の2分の1となります。

たとえば、被相続人に配偶者と父母が同じ兄弟が1人、異母兄弟が1人いる場合、配偶者の相続分は4分の3、父母が同じ兄弟の相続分は6分の1(1/4×2/3)、異母兄弟の相続分は12分の1(1/4×1/3)となります。

配偶者がいない場合の法定相続人と相続割合については、次の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

関連記事:配偶者がいない方の相続は?相続人と相続割合の確認方法を図解で解説

遺産に不動産が含まれる場合の分配方法

不動産

遺産に不動産が含まれる場合、単純に法定相続分で分けるのは難しいことも多くあります。

不動産の分配方法には、次の4つの方法があります。

遺産分割協議では、不動産の分配方法をめぐってトラブルになるケースが少なくありません。

相続トラブルになる可能性を低くするためにも、それぞれの分配方法の内容や特徴を理解しておくことは重要です。

不動産の分配方法については、次の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

関連記事:不動産の遺産分割の4つの方法とは?遺産分割協議書についても解説

現物分割

現物分割は、不動産を相続人間で物理的に分ける方法です。

たとえば、1つの土地を法定相続分に応じて分筆する場合に利用されます。

現物分割はシンプルで分かりやすい方法ですが、土地が細分化されることで利用価値が下がることもあります。

建物の現物分割はできないため、実家の相続方法を決める際には利用できません。

代償分割

代償分割は、1人の相続人が不動産を相続する代わりに、他の相続人に代償金を支払う方法です

たとえば、相続人が2人の子どもで遺産が3000万円の土地と1000万円の現金というケースでは、各相続人に2000万円分の遺産を相続する権利があります。

このケースで、1人の子どもが土地を相続する代わりに1000万円の代償金を支払い、もう1人が1000万円の現金と1000万円の代償金を取得するのが代償分割です。

代償分割は、土地を相続したい相続人と現金を相続したい相続人が分かれているときに有効な手段といえます。

ただし、土地を相続する側が代償金を用意できないときには利用できません。

換価分割

換価分割は、不動産を売却した現金を相続人全員で分ける方法です。

換価分割を利用すると、分けるのが難しい不動産が簡単に分けられる現金になります。

相続人の中に不動産の取得を希望する人がいないときには有益な方法となるでしょう。

ただし、先祖代々の実家を守りたいといった事情があるときには利用できません。

共有分割

共有分割は、不動産を法定相続人の共有のままにしておく方法です。

被相続人が亡くなると、遺産は法定相続人の共有状態となります。

通常は、遺産分割協議で共有状態を解消しますが、共有分割は共有状態を解消せずにそのままにしておく方法です。

共有分割については、不動産の分配方法を決める必要がないため、不動産の分配でもめる心配はなくなります。

しかし、共有状態では不動産を活用するのが難しく権利関係も複雑になるため、後にトラブルが起こる可能性は高くなるでしょう。

遺産の分配を決める際の注意点

注意点

ここでは、遺産の分配を決める際の注意点をまとめて解説します。

遺産相続は、各相続人に大きな影響を与える可能性のある手続きです。

手続きを適切にトラブルなく進めるために、それぞれの注意点を意識するようにしてください。

期限のある手続きに注意する

遺産の分配を決めること自体に期限はありません

しかし、遺産の分配が決まらなければ、期限のある手続きが間に合わなくなる可能性があります。

遺産相続の手続きでは、期限のある手続きが多くあります

たとえば、相続放棄は被相続人が亡くなって自分が相続人となることを知ってから3か月以内、相続税の申告は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内が期限です。

相続税の申告期限までに遺産分割協議が成立していないときは、各相続人が法定相続分に従って相続税の申告をしなければなりません。

その後、遺産分割協議が成立した際には、実際の相続分に従って修正申告をすることになります。

また、相続登記は、被相続人が亡くなってから3年以内にしなければなりませんが、分配が決まっていなくても期限は延長されません。

遺留分の侵害に注意する

遺言書で遺産の分配を決める際には、遺留分の侵害に注意しなければなりません。

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に最低限認められる遺産の取得分のことです。

遺言の内容が遺留分を侵害している場合、遺留分侵害額請求の対象となります。

遺留分を侵害する遺言書は、遺留分をめぐる相続人間の争いを起こすものとなるため、遺留分の侵害には十分に注意してください。

遺留分については、次の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

関連記事:遺留分とは何かをわかりやすく解説!法定相続分との違いや計算方法・具体例も紹介

相続放棄があると相続割合が変化する

一部の相続人が相続放棄すると、相続割合が変化します。

相続放棄とは、遺産を一切相続せず相続権を放棄することです。

たとえば、被相続人に配偶者と子ども、兄がいるときには、配偶者と子どもが相続人となります。

このケースで子どもが相続放棄すると、順位が下の兄に相続権が移ります。

子どもが複数いるときの相続分は子どもの人数での均等割となりますが、子どものうち1人でも相続放棄すると相続割合が変わります。

相続放棄の有無によって、誰が相続人になるのか、各相続人の相続割合がどうなるかが変わるので、相続放棄の有無には十分に注意しましょう。

相続放棄については、次の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

関連記事:相続放棄の手続きの流れは?相続放棄の基本や申述費用・必要書類も解説

マイナスの財産も分配の対象となる

遺産分割協議では、プラスの財産だけでなくマイナスの財産もすべて分配の対象となります。

プラスの財産の分配を決める際は、マイナスの財産を誰が負担するのかも考慮しておかなければなりません。

ただし、判例上、債務は当然に各相続人が分割して相続するものとされています。

そのため、借金の負担割合を決めたとしても債権者には対抗できない可能性があります。

遺産の分配でもめたときは弁護士に相談する

遺産の分配でもめたときには、弁護士に相談することをおすすめします。

相続争いは、深刻な問題に発展して当事者同士で解決するのは難しいケースが多いでしょう。

相続争いが起こりそうなときには、早めに弁護士に相談することでトラブルとなるのを防げる可能性もあります。

すでにトラブルに発展したケースでも、弁護士が間に入ることで、遺産の分配に合意できることもあります。

相続人間でのトラブルは、早めに弁護士に相談してください。

まとめ

今回は、遺産相続の分配方法を理解するために、次の内容について解説しました。

  • 遺産相続の分配を決める方法は、遺言書か遺産分割協議のいずれか
  • 遺産分割協議や調停・裁判では法定相続分が目安となる
  • 相続財産に不動産が含まれているときは、分割方法の選択が重要
  • 遺産の分配でもめたときは弁護士に相談する

遺産の分配についてお悩みの方は、弁護士までご相談ください。遺産相続で相続人間のトラブルになると、当事者同士で解決するのは難しくなってしまいます。

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この記事を執筆した人

弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属

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