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従兄弟は法定相続人には含まれず、法的には相続権がありません。
ただし、特定の条件を満たすことで相続が可能になります。
また、自身のほかに誰が相続人になる可能性があるのかについても、確認しておきましょう。
従兄弟の財産を相続した場合の注意すべき点やよくあるトラブルについても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
従兄弟の財産相続に関するお悩みをお持ちの方は、相続問題に強い弁護士法人アクロピースにご相談ください。
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遺言書がない場合、遺産は法定相続人が法定相続分に従って相続します。
法定相続人とは、法律で定められた相続の権利を持つ親族のことです。
相続順位は下記のとおりです。
従兄弟は法定相続人には含まれないため、遺産を相続する権利はありません(民法889条)。
従兄弟に法定相続人がいない場合は、特別縁故者や遺言書で指定された人物が財産を相続できる可能性があります。
遺贈する相手や特別縁故者がいない場合でも、従兄弟は相続できません。
このように法的に財産を相続できる人物がいない場合には、国庫に帰属することになります。
つまり、従兄弟である自分には一切渡らず、すべて国のものとなるのが原則なのです(民法959条)。
ただし、従兄弟が特別縁故者と認められた場合には、従兄弟の財産を相続することができます。
特別縁故者とは、被相続人と同居しており生計を同じくしていた人物や被相続人の療養看護をしていた人物などのことです(民法958条2項)。
特別縁故者として認められるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。条件や手続きについて詳しく見ていきましょう。
特別縁故者として認められるためには、下記いずれかの条件を満たす必要があります。
条件 | 詳細 | 証明方法 |
---|---|---|
被相続人と生計を同じくしていた者 | 事実上夫婦として生活していた内縁の夫や妻、一緒に生活していた独身の従兄弟など | 同居年数がわかる住民票など |
被相続人の療養看護に努めた者 | 被相続人と一緒に暮らしておらず、療養看護を行っていた人 ※看護師や家政婦として報酬を受け取っていた場合も対象だが、家族のように愛情をもち、献身的に行っていた場合に限る | 医療費や介護費用の領収書、訪問記録、メールなど |
その他被相続人と特別の縁故があった者 | 被相続人と密接に交流していたうえに、財産を相続したいと被相続人が感じると考えられるほどに特別な関係にあった人 | メールや手紙のやり取り、日記の記録、財産を譲る意思が記載された文書など |
従兄弟とほぼ面識がなく、関わりがなかった場合には、特別縁故者と認められる可能性はありません。
また、特別縁故者として認められるかどうかは家庭裁判所が判断するため、上記に当てはまっていたとしても、認められない可能性があります。
特別縁故者として被相続人の遺産を相続するためには、家庭裁判所に認めてもらう必要があります。
ただし、いきなり家庭裁判所に申し立てるのではなく、法定相続人の捜索をしたり、相続財産清算人の選任の申請をするなど複数の対応が必要です。
特別縁故者と認められるための手続きの流れについて詳しく見ていきましょう。
手続き | 説明 |
---|---|
1.相続財産清算人の選任を申請する | 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「相続財産清算人の選任」を申し立てます。 相続財産清算人は、被相続人の財産の管理や債務の清算を行う人物です。 |
2.法定相続人の捜索を行う | 相続財産清算人が選任されると、その旨が官報に公告されます。 同時に、相続人に名乗り出てもらうための公告も官報で行われます。 公告期間は通常6ヶ月で、この期間内に法定相続人が見つかれば、その相続人が遺産を相続します。 |
3.債務を精算する | 相続財産清算人は、2ヶ月以上の期間を定めて被相続人の債権者に対して債権の請求を申し出るように公告を行います。 この広告は、清算人選任の公告及び法定相続人の捜索の期間満了までに終わるように公告します。 法定相続人が見つからなかった場合、相続財産清算人は被相続人の債務を清算します。 債権者や受遺者に対して債務の支払いが行われます。 |
4.特別縁故者の申立てを行う | 法定相続人が不在であることが確定した後に、特別縁故者が家庭裁判所に「特別縁故者に対する相続財産分与の申立て」を行います。法定相続人の捜索公告の期間が終了してから3ヶ月以内に行う必要があります。 |
5.証明資料を準備・提出する | 特別縁故者として認められるために必要な書類を提出します。 |
6.家庭裁判所の審理を受ける | 家庭裁判所に提出された申立てと証明資料をもとに、審理が行われます。 被相続人との関係性や申立ての内容、証明資料を総合的に検討し、特別縁故者としての資格を認めるかどうかを決定します。 |
7.家庭裁判所の決定を待つ | 家庭裁判所の審理が終わると、特別縁故者として認められるかどうかの決定が通知されます。 認められた場合、特別縁故者は相続財産を分与される権利を得ます。 決定には時間がかかるため、焦らずに待つことが重要です。 |
8.財産の分与を受ける | 家庭裁判所から特別縁故者として認められた後、相続財産清算人から財産の分与を受けます。 |
特別縁故者としての手続きは複雑で手間がかかりますが、しっかりと準備し手続きを進めましょう。
従兄弟の財産を自身が相続できるケースの1つとして、遺贈を受ける方法があります。
遺贈とは、被相続人が遺言書で指定した人物に特定の財産を譲ることです(民法964条)。
遺贈を受けるためには、従兄弟に遺言書を作成してもらう必要があります。
遺言書の種類や保管場所について詳しく見ていきましょう。
遺言書には、主なものとして下記の種類があります。
遺言書の種類 | 作成方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
自筆証書遺言(民法968条) | 遺言者が自筆で全文を書き、日付と署名を行い、押印する | 費用がかからず手軽に作成できる 他人に内容を知られずに済む | 法律の定める形式を満たさないと無効になる可能性がある 紛失や改ざんのリスクがある |
公正証書遺言(民法969条) | 公証人役場で公証人と2人以上の証人の立会いのもとで作成する | 形式不備による無効のリスクが少なく、偽造や紛失の心配がない | 費用がかかる 証人を用意する必要がある |
秘密証書遺言(民法970条) | 遺言者が遺言書を作成し、封印して公証人と2人以上の証人の前で提出する | 内容を他人に知られることなく作成できる | 遺言書の内容を公証人が確認しないため、形式を満たさないことによって無効となるリスクがある |
遺言書は、所定の形式に従って作成しなければ無効になります。
そのため、公証人によって適切な形式で作成できる公正証書遺言の作成をおすすめします。
遺言書の作成方法や注意点などについては、こちらの記事をご覧ください。
公正証書遺言の場合、原本は作成した公証役場で保管されます。
これにより、紛失や改ざんのリスクが大幅に減少します。
事前に、どの公証役場に保管したのかを従兄弟同士で共有しておくことで、手続きがスムーズに進むでしょう。
自筆証書遺言は生前に発見されづらく、死後は確実に発見され、変造が行われない場所に保管しておくことが大切です。
たとえば、自宅の金庫や鍵付きの引き出しに保管する方法が一般的です。
利害関係者に預けると、隠匿や改ざんのリスクが高まるため、信頼できる第3者に保管を依頼することも方法の1つです。
たとえば、弁護士に保管を依頼すると、遺言の内容についてもアドバイスを受けられるため、結果的に遺贈がスムーズに進みます。
従兄弟の財産を相続する際は、次のような注意点とトラブル例があります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
被相続人の一親等の血族および配偶者以外が財産を受け取った場合、相続税額の2割に相当する金額が加算されます(相続税法18条)。
従兄弟は一親等の血族でも配偶者でもないため、相続税の2割加算の対象です。
たとえば、相続税額が500万円であれば、2割の100万円が加算され、合計600万円を納税する必要があります。
相続税を支払うための現金が不足しているために、相続した不動産の売却を余技なくされることにならないよう注意しましょう。
特別縁故者として財産を受け取る場合には法定相続人がいないことが前提なので問題はありません。
他方、法定相続人がいるのに遺贈によって財産を受け取る場合、法定相続人から反感を買う可能性が高まります。
たとえば、法定相続人と仲が悪かったり疎遠になっていたりする場合は、法定相続人側としては財産を渡したくないと考える可能性があります。
そうなれば、親戚関係にヒビが入るなどの可能性が考えられます。
遺言書の保管場所がわからない場合、自身に遺贈されているかどうかも判断できません。
特に、遺言書が従兄弟の家に保管されている場合、探すことが難しいでしょう。
そのため、遺言書の保管場所について事前に従兄弟と話し合い、知らせておくことが重要です。
従兄弟の財産を相続したい場合は、弁護士に相談することを検討しましょう。
弁護士に相談することには、次のメリットがあります。
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
弁護士に相談することで、従兄弟の財産をスムーズに相続するための具体的な方法を教えてもらえます。
たとえば、特別縁故者の条件や手続き、遺贈の方法、遺言書の種類や保管方法などを詳しく教えてもらうことができれば、予期せぬトラブルによって相続できなくなる事態を未然に防げるでしょう。
弁護士に相談することで、法定相続人がいる場合にいとこに遺贈をする場合でも、法定相続人とのトラブルが発生した際の交渉をサポートしてもらえます。
相続問題は感情的になりやすく、親族間の対立が起こることも少なくありません。
弁護士は法律の専門知識を持っており、法的根拠に基づいて話し合いを行うため、感情的に対立しても、冷静な対応によって解決へと導きます。
また、弁護士が遺言執行者になっていれば、遺言内容を確実に実現してもらうこともできます。
遺言の有効性をめぐり紛争になった場合には、弁護士が代理人となることで、依頼主自身が直接関与せずに済むため、精神的な負担を大幅に軽減できます。
たとえ、調停や裁判になったとしても、本人の代わりに出廷し、適切な対応が可能です。
弁護士に相談することで、見落としがちな注意点についてもアドバイスを受けることができます。
たとえば、従兄弟の財産を相続する際は相続税が2割加算されることがあります。
また、不動産を相続するなどの場合には、事前に不動産の状況をよく把握しておかなくては、思った以上の負担が発生して相続したことを後悔する可能性もあるでしょう。
弁護士に相談すれば、自分では把握することが難しい注意点についてもアドバイスを得られるため、予期せぬトラブルのリスクを軽減できます。
従兄弟の財産を相続することは一般的には難しいものの、特定の条件を満たすことで可能となります。
特別縁故者として認められるためには、適切な手続きを踏むことが重要です。
さらに、遺贈を受ける場合には、遺言書の作成や保管についても注意が必要です。
本記事で紹介したポイントを参考に、従兄弟の財産を相続する際の注意点や手続きについて理解を深めていただければ幸いです。
また、従兄弟の相続では法定相続人との対立や、条件を満たしているかどうかの確認などの問題が生じやすいため、信頼できる弁護士に相談することが大切です。
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弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
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