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遺産相続の手続きは、被相続人(亡くなった人)の親族の構成によって進め方が異なります。
相続手続きは、被相続人にとっても遺された親族にとっても重大な事柄です。
今回は、「配偶者なし・子なし・親なし・兄弟死亡」の条件に当てはまる方の相続手続きについて、誰が法定相続人となるのか、兄弟の子どもの有無によって相続人が異なるのかなどを解説します。
「配偶者なし・子なし・親なし・兄弟死亡」の相続手続きについてお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
弁護士法人アクロピースでは60分間の無料相談の実施しています。
相続人の確認や手続きでお困りの方はぜひお気軽にお問い合わせください。
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被相続人の遺産を誰が相続するかは、遺言の有無によって異なります。
被相続人の遺言がある場合には、遺言の内容に従って遺産相続の手続きが進められるのが原則です。
たとえば、被相続人が「財産は全て内縁の妻に相続させる」という内容の遺言を遺していたときには、内縁の妻が被相続人の全ての財産を相続します。
一方、被相続人の遺言がない場合には、法定相続人が遺産を相続します。
ただし、「配偶者なし・子なし・親なし・兄弟死亡」の被相続人には、法定相続人がいない可能性も高いでしょう。
被相続人の遺言がなく、法定相続人もいない場合には、被相続人の遺産は、生前に被相続人と特別の関係にあった特別縁故者が取得します。
特別縁故者もいない場合には、被相続人の財産は最終的に国庫に帰属することになります。
「配偶者なし・子なし・親なし・兄弟死亡」の被相続人には、法定相続人がいないケースも多いです。
ただし、死亡している兄弟に子どもがいたときには、「配偶者なし・子なし・親なし・兄弟死亡」の被相続人の法定相続人になります。
ここでは、「配偶者なし・子なし・親なし・兄弟死亡」の法定相続人が誰になるのかを理解するために、法定相続人とは何か、法定相続人が死亡していた場合はどうなるかについて解説します。
法定相続人とは、民法によって被相続人の財産を相続する者として定められている人のことです。
被相続人に配偶者がいる場合には、常に法定相続人となります。
配偶者以外の法定相続人は、相続の順位によって決まります。相続の順位は、次のとおりです。
配偶者以外は、自分より上の順位の相続人がいる場合には、法定相続人とはなりません。
たとえば、被相続人に親と兄弟がいるときには、兄弟は法定相続人とはならず、親が法定相続人となります。
相続人の順位については、下記の記事を参考にしてください。
関連記事:親の遺産相続はどうする?相続の基本と5つの手順・必要な手続を解説
被相続人が亡くなる前に法定相続人が死亡していた場合には、法定相続人の子が亡くなった本人に代わって法定相続人となります。
これが、代襲相続の制度です。
「配偶者なし・子なし・親なし・兄弟死亡」の人の法定相続人となる可能性があるのは、兄弟の子どものみです。
被相続人の法定相続人であった兄弟は被相続人が亡くなる前に死亡していますが、兄弟に子どもがいたときには、兄弟の子どもが代襲相続による法定相続人となります。
なお、兄弟の子どもが代襲相続するのは一世代限りとなるため、兄弟の子どもが亡くなっているときでも、兄弟の孫は代襲相続による法定相続人とはなりません。
したがって、兄弟に子どもがいなかった場合や、兄弟の子どもが亡くなっていた場合には、法定相続人はいません。
被相続人よりも前に死亡していた兄弟に子どもがいる場合には、兄弟の子どもが法定相続人となります。
ここでは、兄弟の子どもが複数人いる場合や兄弟に養子がいる場合の相続手続きについて解説します。
兄弟の子どもが複数人いる場合には、子ども全員が法定相続人となります。
たとえば、被相続人の弟(死亡)に子どもが2人、妹(死亡)に子どもが1人いた場合には、3人の子ども全員が法定相続人です。
複数の子どもが法定相続人となる場合、それぞれが遺産を取得する割合(相続分)は人数による均等割となります。
例えば、被相続人の弟(死亡)に子どもが2人、妹(死亡)に子どもが1人いた場合で配偶者がいない場合には、それぞれの相続分は、弟の子どもが4分の1ずつ、妹の子どもが2分の1となります。
「配偶者なし・子なし・親なし・兄弟死亡」のケースでは、兄弟の子どもが養子であっても、実子の場合と同じく代襲相続による法定相続人となります。
兄弟の子どもが養子でも、兄弟が養子縁組をした時点で、被相続人と兄弟の養子とは傍系卑属の関係となります。
これは、兄弟の子どもが実子である場合と変わりありません。
死亡していた兄弟に子どもがいない場合や、兄弟の子どもが亡くなっていた場合には、法定相続人がいない状況となります。
法定相続人がいない場合には、次の流れで相続手続きが進みます。
それぞれの内容について詳しく解説します。
被相続人に相続人がいないときには、被相続人の財産を清算する相続財産清算人を選任する必要があります。
相続財産清算人は、被相続人の財産を管理、清算する役割を担う人のことです。
令和5年4月1日の民法改正以前には、相続財産管理人という名称でした。
相続財産清算人の選任手続きは、被相続人の債権者や特別縁故者などが家庭裁判所へ申立てることによって行われます。
相続財産清算人が選任されると、被相続人の債権者が相続財産から支払いを受けたり、特別縁故者が財産を取得できたりするようになります。
相続財産清算人については、詳しくは下記の記事で解説しています。
関連記事:相続財産清算人と相続財産管理人の違いは?選任申立てに必要な費用や流れも解説
相続人がいないときに特別縁故者がいる場合には、特別縁故者が被相続人の財産を取得します。
特別縁故者とは、被相続人の生前に被相続人と生計をともにしていたり、被相続人の療養看護を担当していたりなど、被相続人と特別の縁故があった者のことです。
たとえば、内縁の妻や、被相続人の家に住み込みで生活していた事実上の養子などが特別縁故者といえます。
特別縁故者が財産を取得するには、相続財産清算人による公告手続によって相続人の不存在が確定したあとで、特別縁故者への相続財産分与の申立てをおこなう必要があります。
なお、特別縁故者への相続財産分与の申立て手続きは、相続人の不存在が確定してから3か月以内におこなわなければなりません。
相続人の不存在が確定し、特別縁故者による申立てもおこなわれなかった場合、被相続人の財産は国庫に帰属します。
被相続人の財産を国庫に帰属させる際は、相続財産清算人が財産を現金化して家庭裁判所に引き継ぐケースが多いです。
「配偶者なし・子なし・親なし・兄弟死亡」のケースで兄弟の子どもが法定相続人となる際には、次の3点に注意が必要です。
それぞれの注意点について詳しく解説します。
兄弟の子どもには遺留分がありません。
そのため、被相続人が遺言で他の人に全ての財産を遺贈した場合でも、兄弟の子どもは遺留分を請求できません。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に保障された最低限の遺産取得分のことです。
遺留分を持つ法定相続人は、自分の取得した遺産が遺留分に満たないときには、遺産を受け取った人に対して遺留分を請求できます。
兄弟の子どもは、兄弟に代わって法定相続人となる立場にある人です。
兄弟には遺留分がないため、兄弟に代わって法定相続人となる兄弟の子どもにも遺留分はありません。
被相続人の遺産を相続した人が被相続人の配偶者か一親等の血族以外の場合には、相続税が2割加算されます。
兄弟の子どもは被相続人にとって三親等の血族となるため、相続税が2割加算される対象です。
相続税の加算によって遺産を相続することが負担となる場合には、相続放棄も検討する必要があるでしょう。
なお、相続財産の額が基礎控除額以内(3,000万円+600万円×法定相続人の数)の場合、そもそも相続税が発生しないため相続税の加算も問題となりません。
たとえば、兄弟の子どもが2人の場合、基礎控除額は4,200万円となります(3,000万円+600万円×2人)。
この場合、相続財産の額が4,200万円以下であれば相続税は発生しません。
被相続人が負債を抱えていた場合、負債も相続の対象となります。
法定相続人が負債を相続しないためには、相続放棄の手続きが必要です。
相続放棄の手続きは、被相続人が亡くなったことと自分が法定相続人となることを知ったときから3か月以内におこなわなければなりません。
兄弟の子どもは被相続人との交流が浅く、知らず知らずのうちに相続人となってしまう可能性もあります。
被相続人に負債がある場合には、相続放棄を検討するようにしてください。
相続放棄について、次の記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:相続放棄のデメリットは?判断基準や手続、注意点とともに弁護士が解説
関連記事:相続放棄の期間は3か月!起算日や延長の方法・期限を過ぎた時の対処法
「配偶者なし・子なし・親なし・兄弟死亡」の人が兄弟の子ども以外に財産を渡したい場合、次の2つの方法があります。
それぞれの方法について、解説します。
遺言によって特定の人に財産を引き継ぐことを遺贈といいます。
遺贈の相手は法定相続人に限られず、内縁の妻や生前にお世話になった人など遺言者が自由に決められます。
また、個人を遺贈の相手とするのではなく、遺贈で学校法人やNPOなどの団体に寄付することも可能です。
兄弟の子ども以外に財産を渡す方法としては、生前贈与もあります。
生前贈与の相手も遺贈と同様に、財産を渡す人が自由に決めることができます。
なお、生前贈与については遺贈の場合よりも税金が高額となる可能性もあるため注意が必要です。
遺贈による相続税と生前贈与による贈与税のうち、負担の低い方法を選択するようにしてください。
兄弟の子どもには遺留分がないため、遺贈や生前贈与を受けた人が遺留分を請求されることはありません。
そのため、被相続人としては、遺留分の心配なく自分の意思に従って、遺贈や生前贈与の手続きをおこなえます。
ただし、遺言の作成や生前贈与の手続きをおこなわなければ、兄弟の子どもが法定相続人として遺産を相続することになります。
兄弟の子ども以外に財産を取得させたい場合には、自分の意思がしっかりしているうちに遺言の作成や生前贈与の手続きを進めるようにしてください。
「配偶者なし・子なし・親なし・兄弟死亡」の人で誰が自分の財産を相続するかについて不安のある方は、遺言書を作成するのがおすすめです。
遺言書を作成しておけば自分の考えるとおりに財産を遺すことができるため、死後の心配も少なくなります。
遺言書の作成や相続の手続きに不安のある方は、弁護士に相談するとよいでしょう。
弁護士法人アクロピースでは、相続についての相談を随時受け付けております。
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弁護士法人アクロピース代表弁護士
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